本日の献立

    鶏レバーの大蒜醤油炒め
    白菜の煮浸し生姜風味
    じゃがいもの煮っころがし
    きゅうりの梅おかか和え

    夫、ニコニコと完食。

    なんか気が乗ったので(滅多に乗らない)コマコマと作った。じゃがいもの面取りまでして、自画自賛。このところ、作るものの傾向がおばあちゃんの和食みたいになってきたな。いや、昨日はマカロニチーズだったけどね。

    ガイジンは差別用語か

    日本では、誰が言い出したのか定かでないが、日本人でない人を指す呼称として“外人”はダメで“外国人”は政治的に正しいということになっている。らしい。国籍の異なる両親のもとに生まれた子について“ハーフ”は差別的なので“ダブル”とすべしと主張する人々もいるが、こちらは定着しているとは言い難い。

    奇妙なことに、ガイジンといえばたいていの日本人が真っ先に思い浮かべるのは白人で、外国人というと他の人種もぜんぶ含まれる。

    エスキモーとイヌイト、ラップとサーメのように、当事者の言葉での自称を正規とする、それは理解できる。さらに、ニグロとブラックのように、どちらも黒という意味だが、語自体の意味とは無関係にそれぞれの呼称の用いられてきた歴史的社会的文脈から、呼ばれる側がより心地よい方を政治的に正しいとする。これもなるほどねと思う。

    しかし生まれながらに国民である者との対比で外から来た者を“外人”と呼ぶことがなぜ侮蔑的なのか、腑に落ちない。日本語以外でも、自国民以外を指して Auslander、ulkomaalainen、utlending など、外のの人と言う言語もあれば、foreigner、étrange とはっきり“異物”という意味合いの語が一般に用いられる言語もある。

    私は foreigner と呼ばれることにまったく抵抗を感じない。さらに移民と呼ばれるのも、ステキな響きではないものの事実だから仕方がない。どちらもかな〜りバカにされる立場であるが、余所者として住まわせてもらう以上はそういうものだと腹を括っている。

    だから日本で、珍獣扱いされる以外にはさしたる不便も被っていないばかりか、むしろチヤホヤされている白人が、ガイジンと呼ばれて鼻白む気持ちは、さっぱりわからない。

    説明に窮する日本

    クリスマスをヨーロッパ人の夫の親族とじゃなく夫婦二人きりで過ごしたいとか(日本語で家クリというらしい。ケンタッキーフライドチキンを買ってきて食べるのだろうか)、日本の会社を辞めてヨーロッパの田舎へ嫁入りする自分へのご褒美にエルメスのバッグを買いたいとか。

    ヨーロッパ人から「なんで?」と真っ白な問いを投げかけられる度に、一応は生まれ育った国なのだから擁護せねばという気が起きて、苦しい説明を試みる。日本人は神仏混淆でアニミストなので、どこの誰の宗教だろうとお祭りごとはいただいとくのだ。中国人やインド人と同じく成金だからブランド大好きな上に、「形から入る」流儀があるので、内実伴ってなくても気にしないのだ。

    西から昇ったお日様が東に沈む、それでいいのだ。んなわけ、ないでしょ。

    本当に変わった人たち。ボジョレーヌボーというおフランスの安酒に、お洒落ですと言われれば、蘊蓄垂れて群がってみる。外国の宗教の祝日をパパママや恋人と祝う食卓には、米国南部式揚げ鷄(西洋では下層賎民の餌)が欠かせない。2LDKの汚屋敷に家族4人で住んでてもブランド品持って出かける。真冬のヨーロッパで、短い脚にミニスカートとエルメスのバッグという夜の職業の制服に近い姿で内股チョボチョボ闊歩しちゃう。女子力高いし。

    「楽しければいいじゃん。日本の外でなんと思われようが関係ない」。ここで挙げてるようなことは、まあ、勝手にすればの範疇だが、それじゃ済まないことが結構ある。この世界で生き延びる気があるなら、そこに気がついてほしい。生き延びる気があるなら、ね。

    頭を抱えつつ、私は身の丈にあった(袖丈は足りない)ユニクロを着てチリのワインを飲んでいる。おフランスのカエル一族は老父母が亡くなって最初のノエル。今回は大西洋岸から場所を変えて、きょうだいや甥姪が何家族か住んでいる南仏モンペリエに集まった。たくさんの料理は、生牡蠣以外は全部、美味しくも不味くもないが家族が手分けして手作りしていた。私は例年通り、フランス語機能のないシャンパン消費マシーンとして、いっしょうけんめい笑いを取ってきた。

    英国の冬の夜、猫を抱いて思うこと

    まだ還暦には早いけど、大雑把にはそういう年代にさしかかっている私。閉経期でもある。還、経という字を見て思う。人生の中で、周るというテーマの季節なのかな。早い時期にしたことが巡りめぐって戻ってくる、意味をなしてくる。

    今年は、初恋の相手に出会ったエジンバラを最後の伴侶と共に訪れた。初めて働いた職場の先輩にニューヨークで、初婚相手の弟とカリフォルニアで再会した。20代に初めてフィリピンを訪れた時は貧困のマグニチュードにやられて頭がおかしくなりかけた私が、今回はベトナムで、“考えても仕方のないこと”を考えすぎず欧米人観光客向けの贅沢旅行を楽しんでしまう図太さを身につけていた。そして、幼い頃から取り憑かれていながら何十年も行き先を間違え続けて辿り着けなかった英国に、どうやら永住している。

    ベトナムで、クルーズ船の若いガイドが忙しい仕事の合間に「ねえ、シカ。どうやって英語を覚えたの」と聞いてきた。「そりゃ、たまたまだよ。運がよかったの」と答えながら、自分の若い頃、24時間働けるけど食っていくのがやっとの時代を思い出した。会社で招いた英米人の客に傅いて、通常勤務の他にホテル送迎から食事や観光の世話まで駆け回った。そこまで頑張る私に驚く客に「そうするよう指示されてますから」と答えた記憶が蘇る‥‥。ハノイの利発な彼女に、物も心も豊かな将来を本心から希った。

    自慢にならないけど、私は貧困を知らなくはないと自慢したくなる。

    ノルウェーでは「寒い、ひもじい、もう死にたい」を地で行く暮らしをした。スーパーにペットボトルを返すと1本20円とか戻ってくるので、日本語授業後の夜の大学構内や、日曜日の早朝バイト先の教会へ歩く道すがら、酔っ払いや学生たちが捨てたボトルを集めた。

    そもそも私の生育環境は武士は食わねど高楊枝な貧乏で、高学歴で先生と呼ばれる職業ながら呆れるほど薄給の親に、難民キャンプみたいな家で育てられた。

    だからお金がないということがどれだけ尊厳を傷つけるか、知らないわけではない。それがなぜか、裕福と言わないまでも不自由のない奥さまになってしまった。夫が出張で留守の冬の夜、猫まで抱いてBBCテレビの連続ドラマなんか観ている。

    そして趣味が悪かったのか男運がなかったのか、ひどい恋愛や結婚を経て、自分の子をもつ機会も逸した。それがどういうわけか、今頃になって継子ながら息子ができてしまった。大人になった彼は妻と職場を得て、子供を迎える準備も整ってきた様子だ。

    夫の両親は亡くなり、私の両親も老いて援助の必要な状況にいる。そう遠くない昔に子供だった存在、世話されてきた存在が、その子は成長し親は子供還りして、役割がぐるっと一巡りする。

    還暦というか、60年ぐらいで人生は始まり、すったもんだし、いびつな果実を結び、始点に戻ってくるのだ。これから私の子供時代がもう一度始まる。今度は幸せな子供時代にしようっと。

    世界旅行

    9月下旬に出発しておよそ6週間、今まで行ったことのなかった土地を歴訪した。

    まずアメリカ。仕事で駆け足で巡ったことはあったけど、興味と関心をもって訪ねたのは初めて。ニューヨークで夫の友人宅に泊まり、東京の出版社での同僚や上司と20年ぶりの再開も果たした。次にサンフランシスコでは夫の息子夫婦と過ごし、前夫の弟とも旧交を温めた。

    その後オーストラリアのメルボルン経由でニュージーランドへ。ウェリントンからマールボロのワイン産地で酔っ払った後、南島のクイーンズタウンという夢のような街を訪れた。

    震災の痕を残したままのクライストチャーチを経由して、東京に1週間滞在した。ちょこっとだけ、伊勢神宮へも行ってきた。夫を連れて日本中ほぼくまなく旅行したけど、東海地方は私もほとんど行ったことがなかったので。

    東京からハノイへ。面白いことや面食らったことがたくさんあったのだけど、書くことが多すぎて書く気力がない。まだまだ貧しいけれど若さと将来への希望に溢れた国、とんでもなく美しい国土と耐え難い気候。冗談が通じているのかいないのか、軍隊的なまでに一生懸命なもてなし、かと思えば時折顔をのぞかせる疲れ切った投げやりさ‥‥。

    最後にシンガポールに寄って、11月初旬にロンドンへ戻ってきた。猫が待ちわびていたことは言うまでもない。

    遊んでばかりいたらバチが当たりました

    朝起きたら身体じゅうが痛いのです。アルコール筋症というらしいです。ほどほどにしなければいけませんね。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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