言葉の独り歩き

    最近何度か、私の書いた物が文脈から切り離されて独り歩きしているのを目の当たりにした。ツイートや掲示板上や‥‥拡散してくれるのは有難いと思うべきなのだろうけど、思えない。中には引用であることすら明確にせず、あたかも自分の言葉のように掲載している人もいる。

    奇特なまでに善良な人は直接コメントをくれるし、こういうところに載せましたと連絡までくれる。それは例外。ほとんどの人は(驚異的アクセス記録を残している割には)黙って借用していく。

    インターネット上で物を言うということは、そういうことなのだと諦観してかかるしかない。

    私は有名になりたくて書いているわけではないので、著作権の話ではない。私の言葉に共感しシェアしてくれること自体は嬉しい。どんな人がどうして共感してくれたのか、その人の“文脈”が知りたくなる。心地が悪くなるのは、私の“文脈”を無視してシェアした人が自分の論旨の補完道具に使っているときだ。

    私も他人の言葉を引用することはあるので、同じことをしているわけだ。されることで初めて自分のしてきたことの意味がわかったのは収穫だ。

    〔昔の出版倫理〕
    私が出版業界にいた1980年代後半〜1990年代前半は、インターネット普及前。私たちの担当していた雑誌では著者原稿といってもほとんどが素人の体験談類だったので、誤字脱字の訂正や段落整理といった初歩的な編集作業は不可欠だった。なんと原稿用紙手書きの生原稿をコピーして赤を入れていた。

    原稿中の引用をついついそのままにしていると、編集長に怒られた。「引用はすべて原典に当たれ。裏を取れ」。それをやると、残業時間は限りなくのびていく。著者が学者で引用箇所がきっちり脚注で示された原稿などは、後光がかかって見えたものだった。

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    はじめまして

    はじめまして。何度かtweetさせてもらっているものです。ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
    先日の「人種の不条理」も、いくつか考えさせられる文章があったのでtweetしました。文脈に関して、というより、tweet, retweetしたものへの感想そのものは書くことはほとんどないのですが、それもあえてそうしているように思います。自分のtweetを常時読んでる人なら、賛同の意味か、さらしているのかわかるだろうという感じで。シカさんの文章には賛同もしくは新たに教えてもらうことが多いです。

    Re: はじめまして

    ご連絡ありがとうございます。私自身がほとんど使わないせいで、Twitterというものの性質を理解していませんでした。慌ててちょっと勉強したのですが、転載botなんてものまであるんですね。

    私がこの記事を書いていて念頭にあったのは、Maggie Q2000 さんのようにそのまま引用なさってる方よりも、以前にも言及した“なりすまし・改竄・盗用”をしている人たちのことです。おそらくretweetのretweetで伝言ゲームになって、元の記述を見たこともない人たちなのでしょう。

    これからも、怖い生き物がいっぱいのインターネットの世界を、おっかなびっくりオバサンが行きます。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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