マイナスを足す Adding up losses

    会計とか簿記とか、私には神業のように思える職についている若い友人がブログに書いていた。“足し引きと言っても、簿記には実は「引き算」はなくて、「足し算しかない」のです。マイナスを足すとでも言うのでしょうか。人生だって、過去を引き算できなくて、みんなどうにか足し算だけで前に進んでいくしかないのです、決算に向かって”

    マイナスを足す。子供がいない私は、だから半人前だとよく評される。人間として決定的な欠陥らしい。一方で、「子がないということは、子を産み育てる経験の欠如である。しかしそれは、欠如を経験することでもある。それは子を産み育てることのできた人には得られない経験だ」と誰かが言っていた。

    欠損、欠陥、失敗、後悔、傷つくこと、痛むこと。それを経験することで、人は完成していく。完成と改善は同義ではない。負の経験を消すことはできない。それは全部積み重なっていき、プラスの経験と絡み合い熟成し、決算に向かうしかない。

    あえて言えば、空気がある時には人は空気のことを考えない。窒息しそうになってはじめてその大切さがわかる。その意味で、恵まれない、あるいはダメダメな人間は、そうでない人よりも幸せの意味が分かる。マイナスを足せば足すほどたまに入るプラスが光る。イエスが“心の貧しい人は幸いである”と言ったのは、そんな意味だったのかもしれない。

    A young friend who works in accountancy/bookkeeping, a profession which strikes me as superhuman, has written in her blog: "We speak of gains and losses, but really, in accountancy, there is no such thing as deduction. What there is, is "adding up losses." That applies to life as well, in that one cannot deduct the past, but can only keep adding up (losses and gains) towards the settling day."

    Adding up losses. Being childless, people have described me as never quite grown-up. It appears to be a fundamental defect as a human being. On the other hand, someone has said that the lack of the experience (of parenthood) is an experience in itself, of lacking it; this is an experience denied to all who do have children.

    Deficiencies, defects, failures, regrets, being hurt and feeling pain. One grows complete by experiencing all of these. Completion does not necessarily mean becoming better. We cannot delete the negative experiences. There is nothing we can do except to let all our negative experiences accumulate, intertwine with the positive ones and mature, towards liquidation.

    One feeble explanation might be that as long as there is air, we do not think about air. It's only when there isn't enough of it that we realise how essential it is. In that sense, the unfortunate or the good-for-nothings can appreciate happiness more than anyone else can. The more losses one adds up, the more the little gains there are, shine. Perhaps that was what Jesus meant when he said "Blessed are the poor in the spirit."

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    No title

    深く考えさせられる記事でした。
    なぜなら、子供がいるいないにひとの成熟度が関係するのか疑問だからです。子供がいるひとが仮に欠如していないのだとしたら、子供の問題も家庭の問題も本来ないはずです。けれど、世の中はそう単純には出来ていず、にもかかわらず人間という生き物は攻撃の矛先を常に探す習性があるのかもしれません。優劣はなにも子供の有無だけで判断できるはずがないことを忘れて。

    私は未婚での出産を公表していたわけではありませんが、離婚の後に子供をひとりで育てていたという周囲の解釈に好き勝手にさせていました。特に両親が当然の私立学校において、つまらないことを大げさに装飾していうひとはどこにでもいるものです。

    高齢妊娠出産を強く期待されているわたしは、ときどき家族が恨めしくなります。確かに女性は産む性かもしれませんが、産まない、または産まなかったという選択も産んだひとたちとなんら変わりないものだとわたしは強く訴えたくなるときがあります。

    産めばいいというものではないのに。それがわかっていながらも・・・・・人間は言わずにはいられないのでしょうか?
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    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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