黒猫のネコ

    うちにネコが来て10日ほど。私の誕生日の数日前に犬猫シェルターへ連れて行かれ、「どの子にする?」と訊かれ、しょうがないので生後4ヶ月半という黒猫を選んで連れ帰った。帰りの車の中で夫が「名前は何にする?」と言うので「ネコ」と答えた。

    小さくて、しょぼしょぼした顔つきで、とくに美猫とは言いがたい。他に気に入った猫がいなかったのでこの猫にしただけ……やる気のない飼い主なのだ。しかし猫という生き物は、人間に愛されなければ生きていけないと本能で知っている。最初の二日間で夫と私を完全に虜にしてしまった。

    そのネコが盛大な鼻風邪をひいた。体重1380gと痩せっぽちで体力がないので、たかが風邪とも言っていられない。鼻づまりで息ができなくなって獣医さんに駆け込むこと数回。鼻が利かないと食事もすすまない。鼻が詰まるたび蒸気吸入させ、目ヤニ鼻クソを拭き取り、匂いが分かるように温めた食事を与え、ここ4〜5日はさながら集中治療室だった。ようやく持ち直して、モリモリ食べてちょっとは遊ぶようにもなってきた。寝ている時には親父並みのイビキはかくものの。

    たかが小動物、シェルターにたくさんいた中の一匹でしかないネコ。知らずにいれば知らないまま生きようが死のうが知ったことではない命。人の命と同じだ。他人の子を可愛いとは微塵も思わない私なのに、ネコが死んでしまったら…と思うとオロオロする。たかが猫、私が産んだのでもなんでもない、まだ知り合って10日の猫でさえこうだ。赤ちゃんを産んでしまった人が罹る母性という認知障害をむげに責めてはいけないと深く反省。護るものをもつ喜びと痛みは確かに麻薬的だ。
    ちなみにドイツには犬猫の殺処分はないそうだ。迷い猫や貰い手のいない犬猫はすべて、公営のシェルターが引き受ける。そこへ貰いにいく人は一律で犬数万円、猫一万円ほどのペット税を徴収される。税という名目だがシェルターの運営に必要な実費だろう。私たちが行ったシェルターには猫が常時200匹ぐらいいると言っていた。けっこう高齢の猫も多くて、あれは迷い猫か飼い主が死んでしまった猫かもしれない。子猫はたぶん、不注意に産ませてしまった飼い主が連れてくるのだと思う。今までのところ、ドイツで野良猫というものを見かけたことはない。

    どの猫もチップがついていて、どこの誰がいつ飼っていたか履歴が分かるようになっている。“ネコ“もチップのバーコードを貼った身分証明書をもたされてうちに来た。「黒猫、雑種、メス、2012年5月生まれ、3種混合ワクチン2012年9月18日1回目接種(獣医は誰某)、未避妊、ノイス市シェルターから2012年10月7日デユッセルドルフ市何々通り何番地の誰某に貰われていった」と書いてある。シェルターの人に、予防接種2回目と避妊手術は11月にしてくださいね、と念を押された。

    それにしてもこいつの寝息、うるさい。

    テーマ : 猫のいる生活
    ジャンル : ペット

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    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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