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    誰かに向かって歌いなさい

    このところブログを書かなくなっていた。わりと頻繁にやりとりしていたブロ友さんが唐突にブログを閉鎖してしまったことに、自分でも驚くほどやる気を削がれたのだ。中学生の交換日記じゃあるまいしと思ってはみるものの、特定の読み手を想定せずに書くのって案外難しい。

    「誰かに向かって歌いなさい。誰でもいいから。目の前の人でも、意中の人でも、腹が立って仕方ない上司でもいいから」と、合唱団の新しい指導者マーサが言う。そう、口の中でモゾモゾ言っていたのでは、どんなに意味深い言葉でも聴き手には届かない。ところが不特定多数に訴えかけることは難しい。だから誰かを想定するのだ。

    ノルウェーの教会でオルガンを弾いていた頃、そこの牧師と私は歯がゆいプラトニック恋愛まがいの関係にあった。どちらにも、一線を越えるだけの悪徳も蛮勇もなかったので、何事もないまま10年が過ぎた。だけど私は確実に、彼に向かって弾いていた。そのせいで、正規の音楽教育も受けていない私の奏楽が妙に“感動的”になったらしく、見も知らない会衆(葬儀や堅信礼で初めて訪れた親族や、回り持ちで巡ってきた礼拝中継番組のディレクターなど)に熱い賛辞を受けたりした。件の牧師が転任していった後、後任者にはまったくラポールを感じなかった私の奏楽は、もとのガラクタに戻っていた。

    合唱団のマーサは、必ずしもウケがよくない。特殊学級の先生みたいなノリの前任者に、楽譜なんか読めなくて上等・音痴大歓迎と甘やかされてきたメンバーには、マーサの本気さについていけない人も多い。でも私は、素人集団だからこそ、技術を情熱が凌駕する可能性を引き出そうとする彼女の方向性はすごいんじゃないかと思う。それは、じゅうぶんに起こり得ることだから。
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    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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