ご近所クリスマス

    ご近所のまとめ役ワイの声かけで、同じ宅地の数世帯で一緒に早めのクリスマスランチということでパブへ行った。来たのはワイ(香港系イギリス人)、ミッツィ(ギリシャ系イギリス人)、クリスとジュリー(オーストラリア人)、ディアとアブヒ(インド人)、ディディエ(フランス人)、シカ(日本人)。これぞロンドンという面々だ。予想外に楽しかった。

    ミッツィ。推定40代後半、イギリス人の父とでギリシャ人の母の間にリバプールで生まれ育った。エイズ予防が専門の研究者で、アフリカを中心に世界を旅し見聞が広い。

    彼女が中国旅行をした時の印象を聞いていて、「日本人の私が初めて来た頃の欧州は、彼女にとっての中国ほど異質な世界ではなかった」と私が漏らした。「それはなぜ? 」‥‥西洋vs東洋のギャップと、富める者vs貧者のギャップに話が進んだ。そして先進国同士という類似性の他に、私はたまたま欧州と同じ精神土壌があったからカルチャーショックが少なかったという話。「じゃあ、日本の一般的な精神土壌はヨーロッパとどう違うの?」

    「おいおい、それをビッグクエスチョンと言うのだ」。私はグビリとワインを飲んだ。彼女がニヤリと身を乗り出す。

    ヨーロッパの重く垂れ込める空、それを突き破らんとするカテドラルの尖塔。比べて穏やかな日本の自然となだらかな寺の屋根。幾何学的に整備されたベルサイユの庭、自然をそのまま借りて模倣する日本の庭。天に挑み自然を人の支配下に押し込めようとしたのがヨーロッパ史だ。一神教のユダヤ・キリスト・イスラムにおいて絶対的善と悪、神と個人の直線的関係が育ったのに対し、万物崇拝である神道と無我の境地を悟りとする日本仏教においては、個の呪縛を逃れて自然・全体の中に溶け込み失われることが目的だ。行動基準は個々の良心ではなくあくまで相対的な「全体」他人様」なこと。自分がやってる事が正しいかどうかじゃなく、隣の人がやってるかどうかで決めるのだ。これがうまくいくと素晴らしく整合性のある社会になる。新幹線が時刻表通りに動く。まずくいくと‥‥(グビリ)。

    こんなわけで、ミッツィとは「次回に続く」になりそうだ。

    ワイ。カーディフ育ちの完璧なイギリス人だが、両親は香港人だ。有能でダイナミックでバランスのとれた感じの人。会社で電話を取って、相手に名前を聞かれ、「ワイ」と言うと話が続かないというのには笑った。("Who am I speaking to, please?" "Wai. (Why?)" ".....")

    インド人カップル。教育を受けた若い世代で、優しげな物腰と子供っぽい好奇心が混在して可愛い。ワインが大好きで、テイスティングにはフランスのどこへ行ったらいいかと一生懸命ディディエに訊いていた。

    オージーの二人。いかにもオージー、大らかでちょうどいい具合にお下品なところもあり、とっつきやすい。太平洋圏から遠い欧州に来た同士のよしみもあって、適当に楽しい話が弾んだ。

    ご近所さんとこんな付き合いができるなんて、ワイのおかげだ。みんなで一緒にバスに乗ってパブへ行き、一緒に帰ってくる。なんか寄宿学校の悪ガキみたいだね。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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