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    三つ子の魂百まで

    ディディエのお父さんはフランスの電気通信会社(当時国営だったので日本の電電公社にあたる)で長年勤め上げた公務員で5男1女の子沢山。金儲けには縁がなかった。思想的には社会正義に確固たる信念を持ち、贅沢や富の蓄積ということを嫌い、自由平等友愛を地でいく生き方を貫いてきた。90歳を過ぎた今でもアムネスティ・インターナショナルのデモ行進に参加するような人である。こういう、高潔な小市民とでも呼ぶべき人々はヨーロッパにはゴロゴロいるが、日本には多くない気がする。

    さて、鉄の商人ディディエは子供の頃、そのお父さんに一度こっぴどく叱られたことがある。

    ある日学校の工作で作った飾り物が上手くできたので、近所の人に売ってみようとディディエは思いついた。そこで団地の最上階に住む、付き合いはないけれど顔見知りの夫婦を訪ねた。「あら、上手ね」。「〇〇フランです」。夫婦は生まれながらの小さな商人を見てクスリと笑い、快く買ってくれた。

    さて、後日。お父さんがこの夫婦にたまたま出くわして、「この間お宅のディディエ坊やから飾り物を売ってもらったんですよ」と言われたらしい。微笑ましいエピソードとして。しかしお父さんはそうは受け取らなかった。商品価値のない物を、知人に売りつけるなんて! 資本主義をよく思わないお父さんには、息子の商才が理解できなかった。その日学校から帰ったディディエはお目玉を食らい、階上へ行ってお金を返してこいと言われた。

    父の剣幕に従ったものの、「あの時の屈辱は今でも忘れられない」とディディエは笑っている。笑えるようになったのは、成長して本物の商人として天分を発揮できたからだ。違った道を歩んでいたら誰にも話したくない苦い思い出になっていたかもしれない。

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    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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