本物の愛情と立証できれば恩赦

    カズオ・イシグロ原作映画 Never Let Me Go を二度目に観た。臓器移植のドナー牧場で飼育されたクローン人間の話。彼らは自らの運命を知りながらも“人間”と同じように成長していく。主人公のふたりは「ドナーの男女が恋をして、それが本当の恋と当局に証明できれば、臓器提供開始まで何年かの猶予が与えられる」という噂に一抹の希望を抱き、“有力者”を訪ねる。自らの人間性の証しに描きためた絵を見せ、自分たちが真摯に愛し合っていることを訴える。

    彼らが育った牧場では定期的に子どもたちの作品を展示する催しがあった。「あの展示会は、僕たちドナーの内面を社会に見てもらうためだったのでしょう?」という問いに、有力者は答える。「あなたたちの内面(魂の中身)じゃなく、あなたたちに魂があるかどうかを見定めるためだったのよ」。

    非EU市民の私がイギリスでEU市民と結婚するには、まず当局にこれが「真性の恋愛関係」であることを証明して結婚許可をもらわなければならなかった。

    サイエンスフィクションに分類される Never Let Me Go だが、パラレルワールドとして描かれる社会は私たちが生きている現実のかなり露骨な比喩だ。“支配層”(健常者、自国民、特定人種または性別、etc.)vs“カス”を区切る薄いカーテン。ゆらゆらと風に揺れ、私はこちらに入ったりあちらにはみ出したりする。みんなも。

    映画の結末に臓器提供の迫った主人公が独白する。「ドナーの人生は、私たちの臓器をもらう人たちの人生と、本当はそんなに違わないのかもしれない。私たちみんな、終結するのだから」。

    テーマ : 国際結婚
    ジャンル : 海外情報

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    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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