空飛ぶ給仕

    小学生の頃、クラスの女の子の大半が大きくなったらお嫁さんかスチュワーデスになりたいと言っていた。その頃からちょっと捻くれた私はずっとスチュワーデスとは“空飛ぶウェイトレス”のことだと思っていた。

    フランス語教室で“待つ(to wait)”という単語はattendreと習った。

    スチュワーデスは英語でフライトアテンダント(CA=キャビンアテンダントは和製英語、客室乗務員はキャビンクルー)。通訳業でも会議同時通訳やミーティングの逐語通訳などの厳密な専門職としての通訳でなく、通訳を兼ねてお客さんを迎えたり業務や会食に同伴したりの業務をアテンドと言うが、要は言葉通り雑用係(アテンダント)である。

    そう、スッチーはやっぱり、空飛ぶウェイトレスだったのだ。

    生意気な青年

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    本物の愛情と立証できれば恩赦

    カズオ・イシグロ原作映画 Never Let Me Go を二度目に観た。臓器移植のドナー牧場で飼育されたクローン人間の話。彼らは自らの運命を知りながらも“人間”と同じように成長していく。主人公のふたりは「ドナーの男女が恋をして、それが本当の恋と当局に証明できれば、臓器提供開始まで何年かの猶予が与えられる」という噂に一抹の希望を抱き、“有力者”を訪ねる。自らの人間性の証しに描きためた絵を見せ、自分たちが真摯に愛し合っていることを訴える。

    彼らが育った牧場では定期的に子どもたちの作品を展示する催しがあった。「あの展示会は、僕たちドナーの内面を社会に見てもらうためだったのでしょう?」という問いに、有力者は答える。「あなたたちの内面(魂の中身)じゃなく、あなたたちに魂があるかどうかを見定めるためだったのよ」。

    非EU市民の私がイギリスでEU市民と結婚するには、まず当局にこれが「真性の恋愛関係」であることを証明して結婚許可をもらわなければならなかった。

    サイエンスフィクションに分類される Never Let Me Go だが、パラレルワールドとして描かれる社会は私たちが生きている現実のかなり露骨な比喩だ。“支配層”(健常者、自国民、特定人種または性別、etc.)vs“カス”を区切る薄いカーテン。ゆらゆらと風に揺れ、私はこちらに入ったりあちらにはみ出したりする。みんなも。

    映画の結末に臓器提供の迫った主人公が独白する。「ドナーの人生は、私たちの臓器をもらう人たちの人生と、本当はそんなに違わないのかもしれない。私たちみんな、終結するのだから」。

    テーマ : 国際結婚
    ジャンル : 海外情報

    嫌いな食べ物

    喜田方ラーメン(あっさり醤油味、中太縮れ麺)が好みの私は、とんこつラーメンがダメ。獣の死骸を白濁するまで煮えたぎらせた見た目と臭い。目をつぶって鼻をつまんで食べたとしても、ヌルヌル脂ぎった食感や細くて固い麺は罰ゲームだ。

    尤も、チキンスープもビーフコンソメもかつおだしも生き物の死骸の味を旨みとする。しかしアクやエグみ、臭みを抑えるべく弱火で煮たり漉したりする。

    とんこつの獣臭と油脂をもってウマカーという味覚は私はもっていない。上品ぶってるんじゃなくて、生まれつき。私が小さかった頃うちは貧乏で、安いバラ肉しか買えないのに私が脂身を嫌がるので、母は困っていた。ご馳走の鮪のトロや霜降り牛も食べるのが苦痛で、そういうのが好きな父は私の分が回ってくるのでウハウハだった。

    父は少年期を上海の日本人租界で羽振りのいい実業家の息子として過ごしたが、敗戦とともに引き揚げ10代に極貧を味わった。だから父にとっては、豊かだった頃の食卓を飾った中国料理=脂こそが美味しいものとなった。おかげで日本の高度経済成長に伴ってブクブク太り、昔を知る人に「あの美男がこうなったのですか」と真顔で言われる始末だった。その姿は私の拒食症の引き金の一つになった。

    話が逸れた。食べ物への生理的好き嫌い+心理的経験による嫌悪感。偏見って、こういうプライベートな拒絶から生まれるのかな。血の滴るTボーンステーキにむしゃぶりつくスペイン女性の目がギラギラ光ったとき、九州女性が焼き鳥屋で矢継ぎ早に内臓を注文し豚骨ラーメンを語るのを見たときの「きもちわるい」という反応は、自分でもなかったことにできない。これらグループへの理不尽な軽蔑を、今でも克服できていない。

    嫌いな食べ物を列挙したら、私がどの人々に故なき偏見を持っているかバレてしまう。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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