留守番屋さん

    5月に日本へ行くことになって、その間猫と家をどうしようかと困っていた。餌やり業者に毎日来てもらうのはお金がかかりすぎるし、一日中ひとりで猫は退屈してしまう。やっぱり誰かに住んでもらうのがいい。でも在ロンドンの人には買い物や通勤に場所が不便すぎる。海外の家族や友人にもそんなに長い期間仕事や家庭をほっぽり出して来れる人はいない。

    さあどうしようと思案していたところ、留守番屋さん専門のウェブサイトを見つけた。他人の家や動物のお守りをする代わり宿代タダという仕組み。他人の家から家へ泊まり歩いて世界を放浪するのがライフスタイルという人々が、常に行き先を求めている。あやしげな若者ばかりかと思いきや、そうでもない。昔ノルウェーで、家を売ったお金を元手に船を買い世界一周航海中、一冬をトロンハイムの波止場に停泊して過ごしていたアメリカ人夫妻と友達になった。珍しい生き方だなあと思ったが、そう珍しくはないらしいのだ。

    子供たちも巣立って自由の身になり、引退して家を売り払い、元気な間に世界を見て回ろうという初老の夫婦がたくさんいる。彼らにとってロンドンは魅力的な滞在地で、猫の写真つきで告知を出したら「恋人募集サイトか?」ってぐらい熱烈な問い合わせが殺到した。あ、猫が美人だからか。

    100件近い応募を“捌き”ながら人事担当者のエラソーな気分を堪能した。ようやく数件に絞り、ただいま交渉中。私の気分は、ニューヨーク出身の日米夫婦で世界旅行中というカップルに傾いている。日本人だから家の中は靴脱いでくれるし、すごい清潔好きだそうなので。もう一組、カナダ人の元不動産業というカップルもいいかな〜。超ネコ好きのようだし、他人の家の扱いのツボを心得ていそうだから。

    他人事ながら、数ヶ月先の住処を常に探しながらの暮らし、スリル満点すぎて私だったらストレス毛玉になりそう。見も知らない他人に家を預ける不安がないわけではないが、人生賭け事。やってみるしかないか。

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    チャリティーということ

    昨日、イギリス人の親切さについてうんちくを垂れたので、ちょっと補足。チャリティーという言葉は、日本語では慈善(施し)と訳されることが多いけど、私はむしろ隣人愛に近い意味合いで使っている。実際、聖書の現代英語訳では"love"と訳されている語が,一昔前の定番King James版では"charity"となっていた。compassion(共感、他者の痛みを感じること)と言ってもよさそうだ。

    北欧の福祉制度はえらく発達している。しかし実際に暮らした北欧で一番私を驚かせのは、あからさまに困っている人がいても、はっきりと助けを求められても、見て見ぬ振りをする人々だった。あんなに寒い土地で隣人愛まで失くしたら、残るのは税金と福祉予算だけだ。個々の共感力を当てにできないから制度を整えるしかなかったのかな、なんて思ってしまう。

    フランス語教室2回目

    初日の講師が代講のイタリア人でやや意欲を削がれたのだが、予測より早く今日から本来のフランス人講師が戻ってきた。マルティニク出身の黒人女性、本土で教育を受け訛りのないフランス語を話す。機智に富んでダイナミックかつ整然とした教え方で、好感度ばつぐんだ。語学教師には、経験とたゆまぬ準備が大切‥‥(反省)。

    私はこのクラスの雰囲気が気に入っている。振る舞い方を心得た大人のイギリス人が主体で、居心地がいい。南から来た人たちは時にイギリス人は冷たいと文句を言うが、それは表現の仕方で優しさの有無ではないと思う。南欧や中東の人々は確かにベタベタと人懐こい。アメリカ人は大仰な表現で親しげにするがその場限り。北欧やドイツの人々は(飲酒後を除けば)内気で疑い深く実際とっつきにくい。イギリス人は親愛の情をなかなか表現しないし慇懃無礼だ。でもチャリティー精神が発達していると思う。

    北欧やドイツでよく遭遇した場面に、店に入って○○はあるかと尋ねた時の反応がある。「ない」。それだけ。申し訳ありませんもなければ、「あーそれですかぁ、それはねぇ」と考えてみる柔軟性もない。ちなみにノルウェー語ではNoをNei(ない)と言うので分かりやすかった。

    フランスでは、道を尋ねると全然違う方向をわざわざ教えてくれたりする。

    イギリスでは、店に〇〇がなければどこへ行けばあるか一緒に考えてくれるし、道を尋ねれば親切に教えてくれる。尋ねる前から、迷っている様子でいると「お手伝いしましょうか」と誰かが声をかけてくれる。

    こういうイギリス精神は古き良き過去のものになりつつあるのかもしれないが、まだまだ片鱗は感じられる。私も人の領域に土足で入るのは好きじゃないし、かといって他人なんかクタバレと割り切っているわけでもないので、イギリスの距離感と生温さがちょうどツボにはまる。

    フランス語教室の話のはずがイギリス礼賛に終わってしまった。フランス語は、今日何を勉強したというレベルにも至らないほど初歩なので、しばしの猶予を。そういえば今日可笑しかったのは、「フランス人は沈黙を恐れるので、言葉と言葉の間に意味のない音をたくさん発する」というコメント。確かに、「アロール、デイゾレー〜ジュヌセパー、オッラッラ〜」と歌いながら肩を上げ下げし肘から先を上に向けて振ったりすれば、シカでもバカでもフランス人に見えるので、やってみてください。

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    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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