You might think that; I couldn't possibly comment.

    House of Cards という、政界を舞台にした半ばコメディ、半ば悲劇のドラマがある。今巷で騒がれているアメリカ版リメイクではなく、1990年代にBBCで放映されたイギリスのオリジナル版だ。実は私、このドラマの主人公が好きで好きでたまらない。

    House of Cards、To Play the King、The Final Cut の三部作になっていて、私がたまたまノルウェーから国外退去処分をくらってイギリスの義兄(当時)宅に身を寄せていた頃に最終シリーズをやっていた。あり得ない悪徳とそれが十分あり得る現実とが怖すぎ、可笑しすぎて、義兄と二人でテレビに釘付けになっていた。

    筋書きは単純明快。国会で縁の下の力持ち役をさせられてきた初老の男が、女のおだてに乗せられ野心を掻き立てられて、あらゆる画策を講じて首相に登り詰めその座にしがみつき、最後には自らの罪に押し潰される。『マクベス』『リチャード三世』の舞台を現代に移しただけと言っていい。直裁な質問を受けると必ず「そうお思いかもしれません。私には、とてもじゃないがコメントできません」とはぐらかす名台詞が大流行し、現実の英下院でも定番化した。

    この実に気色悪くも魅力的な男を演じたのがイアン・リチャードソンという舞台俳優で、まさにシェイクスピア劇のベテランだった。一見、色気という言葉の対極にある白髪と痩身の枯れた風貌。休日にはツイードの上にむさ苦しいワックスコートを着て狩りに興じ、寝るときには妻とベッドサイドテーブルを隔てたシングルベッドでパジャマを着て靴下を履くイギリス人。古めかしく慇懃無礼な話し方。にもかかわらず、序盤には観る者の唇の端にひきつった笑いを起こさせるだけのこの主人公が、第一幕の終わる頃には胃のむかつくような感情移入を起こさせる。hqdefault.jpg
    私の場合、偶然夫が白髪で痩せ形、薄い色の鋭い目という似たタイプなのと、自分の年齢が第一幕での主人公とそう違わないために、余計ツボにはまるのではある。そういえば最初に観た頃は、主人公に腹を抱えて笑い頭痛を起こしはしたものの、惹かれはしなかった。小説でも映画でも、同じ作品を人生の異なる段階で味わうとまったく違った風味になる。そろそろ、思春期に涙したカフカの『変身』を読み直してみる時期かもれない。

    アメリカ版はまだ観ていない。イギリス版FU(F... Y..の意図的ダジャレ)ことフランシス・アーカート(Urquhart、またダジャレ:irk=辟易させ、hurt=傷つける)にぞっこんの私としては、ケヴィン・スペイシーのフランク・アンダーウッドは多分気に入らないだろう。アメリカ版を先に観た夫の話では、原版の諧謔味は薄れ、もっとデフォルメされもっとお金がかかっているらしい。

    今しばらくは翻訳でお尻に火がついているので、消火作業が済んだらアメリカ版も観てみよう。

    テーマ : 海外ドラマ(欧米・イギリスetc)
    ジャンル : テレビ・ラジオ

    ブログ

    ブログ初心者の過ちをおかしてしまった。

    引っ越しにあたり家具を処分するのだけど、現地の日本語掲示板に告知を出して詳細はブログをご覧あれと、この個人ブログにリンクを貼ってしまったのだ。アクセス数が急上昇したのはもちろんだが、結果として自己開示すべきでない相手にまで自分を晒してしまった。運よく、悪意のあるコメントは一つだけだったが、いやはや、勉強になったわい。

    家具はまだ売っている。専用のメールアドレスとサイトをつくった。

    日本人は、もともと買い物に非常に慎重な国民だ。すごく時間をかけて商品を矯めつ眇めつ比較し、微細な点を理解しにくい英語もどきで質問するので、そういう買い物スタイルに慣れないヨーロッパでは店員に嫌がられたりもする。そこへもってきて、日本人同士のよしみで助け合うべしということか、かなりの値引きを期待される。駐在さん同士ではおそらくそうやってリサイクルの鎖ができているのだろう。環境に優しいのはすばらしいけど、持ちつ持たれつがあればこその話。駐在員社会から何の恩恵も受けるはずがない立場の私としては、出血ご奉仕するわけにもいかず。

    これではどうも埒が開かないので、ドイツ人向けサイトにも告知を出すことにした。キッチンを売った時も、日本語サイトからは反応が遅かったがドイツ語サイトでは即日、こちらの言い値で買い手がついた。

    ところでFacebookにしろブログにしろ、私の日本人以外の友人知人はほぼ全員、実名・写真を載せている。興味のある人しか見ないし、公人じゃあるまいし、たいした危険はない‥‥というノリ。私も同じようにしている。ぜんぜん知らない人から友達リクエストが来たりするが、無視すればいいだけのことで、今のところ実害はない。

    でも日本人は非常に用心ぶかい。用心しないと碌な目に遭わないのだろうか。日本語のブログやなんかを見るのは日本語の分かる人=日本人がほとんどのはずだ。ということは、ネット上の日本人は危険? うーむ。それはあるかもしれない。面と向かってはじつに当たりが柔らかいが、匿名性を獲得した途端にアブなくなる人々。それほど鬱屈した何かがあるのかしら‥‥。ナイスを演じることは、心にそこまで負担をかけるのだろうか。

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    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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