検査結果、問題なし!

    2ヶ月前に夫に血便が見つかって、癌の疑いもあるから早速大腸内視鏡検査をと言われた。ところが夏休みシーズン(英語でsilly season)。検査の予約は今日まで待たなければならなかった。

    いい方に出れば最高、悪く出ても敵の正体が分かれば傾向と対策も考えられる。分からないという状態がいちばん怖い。それでも検査が済むまでは心配するだけ損だ。頭ではそう思っても不安で、ひとりでいると涙が出た。夫がいない世界に生き残りたくない。私の方が先に病気になりたい。‥‥でも夫はもっと怖いはずだ。

    しかし彼は、悲しみを知っているからか、とても強い。最初の3日ほどは浮かない顔をして、万一の場合の財産分与とか整理しておかなくちゃなどと言っていたが、その後吹っ切れたようにいろいろ計画しはじめた。引っ越し、旅行、仕事上の企画。うわ〜と言っているうちに2ヶ月が過ぎた。そして検査前数日間の食事制限の世話をする頃には、私もなんだか慣れてしまって不安を忘れ、面倒だなぁなどと思っていた。

    今日の午後、夫が検査に出かけて、鬼の居ぬ間に洗濯、掃除や買い物と走り回っていて、ふと「‥‥もしかして、結果が悪かったら?」。顔を見れば分かるだろうか。彼はなんと切り出すだろうか。

    3時間ほどして夫は帰ってきた。開口一番、ドイツ人看護婦がおっかなかったと文句を言った。これはいいサインなのか、悪いサインなのか。それから夫は、お腹がガスでパンパンだ、麻酔で眠い、ご飯が食べたいと言った。ふつう、癌宣告されてすぐに食事をしたいだろうか? でもまあ、そういう出方もあるかもしれない。

    「なんにも問題なかったよ」と彼の口から出たのは2時間後だった。なんでその場で電話しないんだ〜??? 夕飯の蒸し野菜と白身魚と白米をお皿に叩き付ける手に剛力が入る私。芋がつぶれる。でも、嬉しい(芋がつぶれたことじゃなく)。フツフツと、すごく嬉しい。食後、麻酔の残りでうたた寝をする夫に毛布をかけながら、自分でも意識しないほど当たり前になっていた緊張が全身から抜けていくのを感じた。ついでにお風呂にはいることにした。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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