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    愛を知らない子どもの悲劇

    ノルウェーでは離婚・再婚による複合家庭が多く、子どもたちは複数の継父母や異父・異母(あるいはぜんぜん血の繋がらない)兄弟姉妹との生活にそれなりに順応し、のびのび育っているかに見える。

    オスロで大量殺戮事件を起こしたアンネシュ・ブレイヴィクの生育環境もそうだった。

    親には親の幸福追求権がある。不幸な結婚を続ける実両親よりは、一人でまたは別の相手と幸せに暮らす片親の許で育ったほうが子どもにとって幸せという考えも一理ある。学校の友達もみんな似たような境遇だ。それでも、親が出て行くとき、子どもは「ぼくは愛されていない」と感じずにいられるのだろうか。

    アンネシュ・ブレイヴィクの実父は外交官。初婚の妻と3児をもうけた後にオスロでアンネシュの母親と再婚。アンネシュが生まれて1年後には二度目の妻子を捨て別の女性と再々婚しフランスに引っ越した。現在はさらに次だかその次の妻と共にフランスに住んでいる。息子が15歳の時以来連絡を絶ち、事件の報を受けて「自殺してくれればよかった」と冷たく言い放った。

    アンネシュは高校時代には筋力トレーニングに明け暮れ、悪質な街頭グラフィティのかどで警察の厄介になったこともあった(実父から勘当されたのはこの事件がもと)。毎朝6時からジムに通いつめる彼の意思の強さに感心する級友もいた。

    このあたりの情報に触れると、三島由紀夫が脳裏に浮かんでしまう。感受性の鋭い男の子が、思春期のどうにもならない痛みを政治的あるいは宗教的な耽美や極端な思想に投影し、危険な方向へ驀進していくのは、珍しいことではない気がする。

    大量殺戮犯に同情しているわけではない。ひとかけらの憐憫も感じてはいない。ただ、個々人のとても私的な恨みや悲しみ─その多くが「愛されなかった」ということ─があらゆる危険なファンダメンタリズムの原動力になっている、それは事実だと思う。

    〈事件の概要〉
    先週の金曜日(2011年7月22日)、オスロの政府労働党オフィスの集まる建物で爆破事件があり、7人が死亡。その数時間後、同一犯人がこんどはオスロ沖のウートオィヤという小さな島で夏期キャンプをしていた労働党青年部を襲撃、1時間半におよぶ連続乱射の末76人の青少年を殺害した。
    犯人アンネシュ・ブレイヴィク(32)は長身・金髪碧眼のノルウェー人。極右思想を持ち、ことにイスラムを敵視する自称キリスト教徒で、緩やかな移民政策をとる現政権・労働党に腹を立てていた。「殺戮そのものは前菜でその後の公判におけるプロパガンダの機会が主菜」と公言している。
    爆破事件の直後、イスラム過激派によるテロと性急に決めつける人々の書き込みでインターネットの掲示板は炎上。街頭で中東系移民を袋だたきにする者もいた。犯人が純ノルウェー人と分かり、その動機が明らかになるにつれ、ノルウェー全国が衝撃と慟哭に包まれている。
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    テーマ : 北欧
    ジャンル : 海外情報

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    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

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