悪夢過ぎて笑える英国政治情勢

    鬼婆が可愛く見えるほどの魔女が首相になった。EU離脱に“成功”したお山の大将ボリスが唐突に首相選から降りたのは、魔女に「アンタさえ降りれば私が勝てるんだから降りなさい、その代わり大臣にしてあげる」と言われたからにちがいない。

    二人とも、自分らの権力争いが国家にEUに世界にどんな迷惑を及ぼそうと毛ほども気にしていない。いや、どいつもこいつも。House of Cards を地でいく破廉恥ぶりには頭がさがる。

    テレサ・メイといえば、合法移民の私まで国外追放しようとした張本人、元法務内務相。CAPITA を雇って非EU移民は問答無用で放り出すことにしたのも、非EU市民と結婚したイギリス国民に収入下限をもうけて、貧乏人には家族とイギリスで暮らす権利すら与えないというルールをまともな国会審議にさえかけず実施するという暴挙に出たのも、この魔女だ。
    images.jpg

    権力のためには人殺しでもなんでもする人が首相になった。

    もう笑うか正気を失うか泣くかしかない英国情勢です。

    テーマ : イギリス
    ジャンル : 海外情報

    カズオ・イシグロの英国、愛する英国

    国民投票結果を受けてカズオ・イシグロが書いた記事。その中に、日本人の子として英国に育ち、日系英国人として生きてきた彼自身の痛切な思いを吐露する部分がある。とても心に響く文章なので以下に抜粋(ご参考までに拙訳もどうぞ)。


    "I believe here we need to have some faith in the people of Britain. Even after the shock of last Friday’s result, I still retain that faith. I speak as a 61-year-old man of Japanese birth who has lived here from the age of five; who has observed and experienced this society from the perspective of a small, visibly foreign child who was for years the only such child in his school or his wider community; as someone who has lived in various parts of the country as it went through the major upheavals of the next four decades. The 1970s and 1980s, for instance, saw immigrants come and settle here in large numbers from the Caribbean, the Indian subcontinent and Africa, even as the country went through one economic crisis after the other, and yet the National Front, the BNP and other racist parties have never been able to gain a proper foothold here, not even to the extent of their counterparts on the European mainland, and have crumbled one after the other. The Britain I know — and deeply love — is a decent, fair-minded place, readily compassionate to outsiders in need, resistant to hate-stoking agitators from whatever political extreme — just as it was in the first half of the 20th century when fascism rampaged across Europe."


    「ここに至って私は、英国の人々を信じる心をもたなければと思う。先週金曜のショッキングな結果を受けても、私はまだ信じている。日本に生まれ5歳からこの国に暮らしてきた61歳の者として。見るからに余所者の姿をした小さな子の視点で英国社会を眺め体験してきた者として(そんな姿をした子は学校でも近所でも私だけだった)。この国が以後40年間の激変の波に揉まれる中で国内あちこちに住んだ者として。たとえば1970〜80年代には、次々に襲う経済危機のただ中にカリブ諸島やインド亜大陸、アフリカから大勢の移民がやって来て住みついた。それでも、BNPやナショナルフロントなどの人種差別主義政党は(ヨーロッパ諸国のお仲間ほどにも)まともな足場を築けず次々崩れていった。私の知る英国、深く愛する英国は、真っ当で公平な場所。困っている人には余所者でもためらいなく手を差し伸べ、人々のヘイト感情を掻き立てようとする政治的思惑に易々と惑わされない英国だ。ファシズムがヨーロッパ全土を席巻した20世紀前半にもそうだったように」


    全文はこちら

    テーマ : イギリス
    ジャンル : 海外情報

    イギリス人の社交性、偽善、優しさ

    「イギリス人は口先ばかり」という悪口をよく聞く。確かに、言葉上手だけど行動を伴わない傾向はあるかもしれない。

    配管や電気の故障で職人を呼んで、時間通りに来た試しも簡単な仕事が一度や二度で終わった試しもないが、やたらと愛想はいい。京都の人の慇懃無礼 −「おぶづけ(お茶漬け)でもいかがですか」は「いい加減帰ってくれ」という意味で、イギリスのディナーの後で出る "Would you like a cup of tea?" とそっくりだ。

    しかし人間は何事にも慣れる力がある。日本人でなくても日本に永く住めば、人の言葉を字面通りに取らず“常識的”に解釈する、行間を読む訓練がついてくる(アスペルガーでもない限りは)。日本語表現の暗号を解読することができるようになる。「またの機会に」と言われれば、「あなたが嫌いなので会いたくありません」と言われなくても相手の意を汲み、かつあえて明言化しないことで自分をも護るようになっていく。

    イギリスでも、イギリス人の特徴をつかんだ上で臨めば、それほど難しくない気がする。同じ言動から違う意味合いを読む勘も働くようになる。よく知りもしない私が怪我したと聞けば様子伺いをしてくれる人がいるとして、「“親切”を演じずにいられない心配性の人なんだな、疲れるだろうな」と思うこともあれば、これから知り合いたいと思って本心で気にかけてくれてると分かることもある。

    たまたま私が日本人なので、イギリスの直言しない・白い嘘をつく社交術が苦にならないのだろう。もっとずっとハッキリものを言う文化から来た人にはストレスになるだろうことは想像できる。

    例の顔面崩壊事故に遭ってから、街の合唱団の知り合いウェンディとアンの二人からお見舞いの訪問やカードや電話をもらって、そんなことを思った。

    テーマ : イギリス
    ジャンル : 海外情報

    送りつけ商法

    コンシェルジェから“荷物が届いてますよ”通知が来た。夫も私も通販頼んだ記憶はないし、贈り物もらうあてもない。❔顔で取りに行った夫、❓顔で戻ってきた。大きな箱の中身は赤ワイン1ダース。夫の好きなリオハやボルドーでも、私の買いそうな安酒でもない。“秋のセレクション”って‥‥注文してないし。

    “注文してない商品が届いたら”で検索してみたところ、政府のサイトにそのままの文言で載っていた。「注文してない商品を店が勝手に送りつけてきた場合、贈り物とみなし消費して結構です。料金を請求された場合、支払い義務はありません」。

    「ふう〜ん。こう書いてあるよ」と見せに行ったら、夫は俄然機嫌が良くなった。「あの店は前に買った時のクレジットカード番号持ってるから、どうせ後日、引き落としがあるだろう。その段階でガツンと言ってやるから大丈夫。そのワイン飲んでいいからね」(ニッコニコ)。

    法は誰の味方か調べるだけは調べたが、実際の攻防はヘタレの私には無理なので夫に任せて、秋のセレクションを堪能中。さっき夫が普段に輪をかけて流暢な英語で電話していた相手は奴等らしい。

    テーマ : イギリス
    ジャンル : 海外情報

    労働者階級〜遺伝か環境か

    イギリス階級社会の存在自体の是非はおいておく。上流(貴族)、中流(ブルジョワ)、労働者の三層構造だが、最近では七層とも言われている。詳しくはこちら

    1)エリート
    2)古くからの中流
    3)スペック的には中流
    4)成金労働者
    5)昔ながらの労働者
    6)新出サービス業
    7)プレカリアート

    職業による分類とは言えず、実際にイギリスに住んでいないと「ああ、この人たちのことだ」とピンとはこないはずだ。

    1)貴族および少数の超エリート
    2)普通に暮らしていて出会う中で上品かつ訛りのない人たちはたいていここ
    3)若い頃不良だったが今はそこそこ成功し、いい家に住み猫なんか飼っている
    4)職種は労働者に入るが、安定した給料で冬にはマヨルカ行ったりできる
    5)いわゆる労働者階級。お金がなく、怠惰で、趣味がわざとのように悪い
    6)新来の若い移民のほとんどがこれ。ロンドンのウェイターは外国人ばかり
    7)失業者、ニートを含む出口のない最低層

    イギリスの階級は摩訶不思議なことに上から強要されたものではなく、内側から支えられている。ふつうに考えれば、労働者の親はせめて子供には教育を受けさせて中流になってもらおうと思いそうなものだ。イギリスでは違う。カエルの子はカエルなのだ。中流が上流になるのも難しいしそういう気を起こす人はあまりいない(ケイト・ミドルトンを除いて)。どうやらみんな、生まれついた階級に文句たらたらながら、文句言ってる快感にハマって抜けらない様子である。

    中でも5)労働者階級の向上心のなさと開き直りと鬱屈は大したものだ。無教養で、文を書かせると私の英語の方がはるかに上手い。フットボール観戦とビール、冷凍食品と中華テイクアウェイとフライドチキンにより肥満体を維持する。鬱屈するぐらいなら頑張って勉強なりめっちゃ働くなりせいってものだが、ぜったい頑張ったりはしない。労働者階級の誇りにかけて。人種差別論者で、おいらは白人様(の労働者階級様)と思っている。

    この人たちの頭の悪さを見ていると、遺伝と信じているから変えようとしないのか、実際に遺伝なのか、分からなくなる。子供は愚かな親を見て育つので愚かな大人になる(その前にまだ子供のうちに親になる)。際限のない繰り返しは見ているだけで気が滅入る。

    労働者階級出身でケンブリッジに行った知人がいた。彼はそこで感じた階級の壁による疎外感を一生恨みに思っている。そのルサンチマン、そこが労働者階級なんだよ、と私は思う。せっかく頭いいのに。恨みと怒りに費やすエネルギーの大きさは朝鮮半島の恨文化を想起させる。彼の現在地:上記4。

    一方、もう一人の知人は労働者階級出身で不良だったが、「アホらしくなって」大学に行き医者になった。自称今でも労働者だが、趣味や教養、見聞、暮らし方を見ると傍目には中流(上記2〜3)になっている。生き方は3でも、医者という職業は1か2と区分けされ周囲にそのように扱われるので、そうなるのだ。

    氏か育ちか、遺伝か環境か。もちろん両方だけど、環境を作る大きな一要素が遺伝である以上、遺伝の責任はかなりあると言えそうだ。

    テーマ : イギリス
    ジャンル : 海外情報

    内務省下請けの野良犬会社

    この間書いた“当局”とやら、実は当局(Home Office)ではなく、当局から移民狩りを委託されたCAPITAという民間企業だった。

    出国させることに成功した移民(合法不法問わず)一人頭ナンボの報酬が当局から出るという、賞金稼ぎ屋だ。なので下手な鉄砲数撃ちゃ当たるで、合法不法の確認もせず“出国勧告”、“警察への通報警告”といった脅しを無記名の自動小銃でぶっ放して来る。

    1週間の砲撃ログ:電話1回、手紙2通、メール1回。その間、「ここへ連絡しろ」という番号やメールアドレスにこちらからも何度も連絡しているにも拘らず。私の在留は合法なので黙ってくださいと言ったのだが、相手は心を持たない人間(機械以下:機械なら、心はなくても怠慢によるミスは犯さない)。苦情を言おうにも責任の所在がCAPITAなのかHome Officeなのかわざと曖昧にされていて、カフカの世界だ。

    合法の証拠に結婚証明書と夫のパスポートをスキャンして送れという。送ると今度はカラーじゃなきゃダメ、ページの真ん中じゃなきゃダメ、結婚証明書の公認翻訳つけろって‥‥。「先般送ったのは、ご覧の通りイギリスの登記所で結婚した証明書で英語なんですけど、何語に翻訳しましょうか?」と返事した。

    今日になってボソっと、「あなたが送ってきた証拠に基づき記録をアップデートしました」という一行だけのメールが来た。こちらのミスでしたでもなければ、ご迷惑をおかけしましたでもない。まじ、死ね。

    こっちは本来の申請の仕上げ段階で忙しいというのに、この野良犬軍団相手の消火作業で気力体力を消耗してしまった。みなさんも、CAPITAには気をつけましょう。
    marktext2 (1)

    テーマ : イギリス生活
    ジャンル : 海外情報

    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

    最新記事
    最新コメント
    カレンダー
    プルダウン 降順 昇順 年別

    07月 | 2017年08月 | 09月
    - - 1 2 3 4 5
    6 7 8 9 10 11 12
    13 14 15 16 17 18 19
    20 21 22 23 24 25 26
    27 28 29 30 31 - -


    カテゴリ
    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    リンク
    フリーエリア
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR