逆噴射疑い案件

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    馬に乗った兵隊さんたち

    ロンドンでは21世紀の今でも騎馬警官や兵隊がうろうろしている。これはうちの目の前の幹線道路をゆっくりと、💩垂れながら(馬って、歩きながらするのよ)、行進する陸軍の騎馬兵隊。その間、当然、交通は麻痺する訳だが、誰も怒らない。

    ネットスーパー配達人は二度ベルを鳴らす

    朝9時、ピンポン、ピンポーン。全国強制ひきこもりの昨今、この時間は布団の中で「はやく人間になりた〜い」妖怪人間が多いのではないか。少なくとも私はその一人、夫は一歩先を行ってシャワーの中だった。

    仕方ない。寝間着(ナイトシャツっていうの? 長いシャツ)一枚で庭の扉を開けた。

    無駄に男前なテスコのおっちゃんが立っていた。私の寝起き姿を見て、「朝早すぎますよね」と愛想がいい。そして、ソーシャルディスタンスゆえ私が「あー、その辺に置いといてください。あとで自分で家に入れますから」と言ったら、配達員はやたらニコニコして「いいですよ、家の中まで運びます」と、ちゃっちゃと動いてくれた。

    「ワインばっかすねー。全部あんたが飲むの?」と余計な一言。咄嗟に「この頃、他にやることないですしね」と答えると、このなんだか全てが無駄な人は「そりゃそーだ、あざーす」と笑いながら去っていった。

    シャワーから出てきた夫に、「テスコの配達来たよ。ハンサムだったよ」と告げたが、あっそと無反応。たまには本気にせんかい。

    都市封鎖

    ロンドンが封鎖されて二週間ほどになる。その数日前から外出を控えていたので、都合20日近く、夫と猫と3人(?)で家に閉じこもっている。

    食糧や必需品の買い出しには夫が週に1回ぐらい車で行っている。彼は65歳でじつはまだ高齢者枠(70歳以上)には該当しないのだが、年寄りに見えることを利用して、スーパーの高齢者専用時間に行って比較的空いている中で買い物をする。とは言っても、棚の半分はすっからかんで目的のモノすべてが調達できるわけではない。今のところまだまだ困窮しているとは言えないけど。

    ネットショップはログインが行列状態で時間がかかり、入っても品切ればかりの上、配達は2週間以上先。それでも猫の食べ物やトイレ砂はこれで注文した。

    私はといえば、もともと出不精(ってか、ひきこもり)なので生活に何の変わりもない。はず。なのに、なんか息が詰まる。昼・夜と毎日2回夫のご飯をつくるのがけっこうたいへんだ。一食終えるたびに次は何つくろうと悩んでしまう。

    普段は自由に外出している夫にとって自宅軟禁の毎日は退屈で、食事が最大のたのしみなのだ。だから何かしら目先をかえて美味しいものをつくってあげたいのだけど、発想が枯渇する。新鮮な食材が自由に手に入るわけでもないときては、尚更だ。

    猫は都市封鎖などどこ吹く風で、家来が二人ともずっと家にいるので上機嫌。跳んだり走ったり鳴いたりと、せめてもの娯楽を提供してくれている。

    この生活があと何週間、何ヶ月続くのか、誰にもわからない。でもこうするしか、自分と他者を守る方策がない。日ごろ健康な人は、自分が感染していても気づかず他人にばら撒いているかもしれない。だから接触を避けるのだ。

    日本にいるみなさんも、家から出ないでください。他人と一緒に食事するとか、カラオケとか、もってのほかです。そのぐらい深刻なんです。

    残照

    昔東京の出版社で一緒に働いていたMさんが、昨年亡くなっていたことを知った。

    Mさんは真正のイギリスおたくで、大学で英文学を専攻し、ヘヴィメタを愛した。夢叶ってロンドンに渡ったのは25年以上も前。以来当地でファッションジャーナリストとして働いていた。純文学の翻訳も手がけ、大手出版社から訳書が出ている。 

    「目には目と歯を」が口癖で豪放で激しい一面、脆さと優しさも抱えていたMさんは、イギリス帰りの私に興味をもち可愛がってくれた。仕事も私生活もダメダメな私はMさんにドヤされ励まされていた。でもある時、私はMさんに愛想を尽かされてしまった。それっきり交信は途絶えた。ロンドンで活躍しながらMさんは、多分、私のことなんて忘れていただろう。 

    それでも私からMさんを嫌いになったことは一度もなかった。10年ほど前自分もロンドンに住むようになってからは特に、Mさんはどうしているかなと時々検索していた。そして行き当たったのが、FB上の“Mさん追悼ページ”だった。 

    仕事に行き詰まっていたのかもしれない、失恋したのかもしれない。私がいやというほど味わった異国で独り生きる淋しさ辛さは、Mさんも同じだったろう。だけど遠い日、何かに落ち込んでは死にたいなどとこぼす私を「馬鹿なことグダグダ言ってるんじゃないよ」と叱り飛ばした彼女が、ロンドンのどこかで誰にも看取られず自ら命を絶ってしまった。泣き虫だった私はといえば、同じロンドンで、なんだか幸せになっているというのに。

    ダイアナ妃が亡くなった時、弟さんか誰かが「これほど愛されていたと彼女が知ってさえいたなら」と言っていた。Mさんも、彼女自身は思い出すこともない誰かがMさんを覚えていたこと、知らないまま逝ってしまった。私だけじゃない、大勢の心の中にMさんがいたこと、本人は知る由もなかった。

    一年も経って訃報に触れ、私はMさんのことを考え続けている。人は二度死ぬという。一度目の死は、その人の身体が消え去った時。そして二度目は、その人を知っていた人がみなその人のことを忘れてしまったか居なくなるかした時だと。  

    私の想いの中でMさんは、まだ存在する。それは、Mさんの命の残照‥‥陽が落ちた後しばらくの、うっすらと赤い光なのだ。Mさん、安らかに。

    悪口:ケイト・ミドルトン

    ウサギのように繁殖しているケンブリッジ公夫妻。ウィリアムのことは別にどうとも思わないが、ケイトの方は(日本でキャサリン妃と呼ばれていることも含めて)めっぽう気に入らない姑根性の私である。

    何が嫌いって、下品なのだ。化粧や服装もそうだが生き方そのものが、LMC(下層中産階級)丸出しにがめつい。イギリス中産階級は、上層中産階級であっても、上流に見られたい、あわよくば加わりたいというあさましさが独特の味わいを醸している。名古屋嬢みたい。

    ウィリアムは、母親の好みを受け継いだようだ。ダイアナは貴族ではあったがオツムが良くはなく、安っぽいわかりやすい趣味の持ち主だった。デュランデュランの音楽やヴェルサーチの服を好んだ。彼女の数多い恋人の中でもとりわけ夢中になった相手はフライドチキン大好きなパキスタン系の心臓外科医だった。ダイアナは少年のウィリアムを、わざわざ変装させてマクドナルドに連れ出したりもした。そのウィリアムはケイトのことを "My Princess Ordinary" と呼んでいたそうで、彼女が庶民であること自体に魅力を感じていたのかもしれない。

    だから好みの相手と結婚できてめでたしめでたしで、それでおしまいの話。なんだけど、王室のある国に暮らす身としては、ふう〜んとかも思うわけである。

    ケイトは母親がエゲツない上昇志向で、"Keeping Up Appearances" で揶揄されまくった見栄っ張り中流夫人を地で行く。ケイト自身も10代の頃からウィリアムの大ファンで、寝室の天井にポスターを貼っていた。そして母親にハッパかけられ王子と同じ大学に進学、見事ハウスメイトとなった。

    日本の紀子さんと似たパターンだ。高価な服に身を包み仮面のような笑顔を浮かべ続けても滲み出るあの下品さが、共通している。

    紀子さん同様ケイトも、一度もまともに働いたことがない。まあ大学在学中から未来の国王とデートしていれば、キャリア選びも不自由だったかもしれない。にしても、就職しようという気配すらなかった。そして30いくつになってようやく婚約を勝ち取るや否や、アホみたいにダイエットして洋服買いまくった。ストレスで痩せたとかじゃなく、意図的なのよと自分で言っていた。その後もなんかに憑かれたように痩せ続けている。摂食障害が蔓延する時代に、たいしたロールモデルだ。

    要するに、たまたま王家に生まれただけで人徳がつくわけじゃなし、趣味が悪いのもしょうがない。王室なんてロクなもんじゃねぇ。ぜんぜん意味わからんです。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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