X親権 ○子の権利

    フランス人との離婚に際し、8歳の子をフランスの夫の許に残し単身日本へ帰りたいという女性が相談してきた。

    彼女の話には、有責、慰謝料、親権といった言葉が出てくる。それだけで、フランスに住んだ年月があまり長くないのだなと分かる。案の定、二人が出逢って結婚したのは日本で、フランスへは子が生まれてから移住したそうだ。

    どこから説明していいのやら。第一私はフランスに住んでもいないし子もいない。在仏の日本人弁護士に相談してくださいとは言った。しかし応急手当というか、とりあえずのアドバイスをとおっしゃるので、下記のようなことを伝えた。

    フランス含む欧州では、離婚はどちらか一方がイヤになった時点で成り立つ。家庭内暴力など重大な事由があれば別居と同時(即時)に離婚成立。二人のどちらにも何の非もない場合でも、一方がもうイヤと思えば十分な理由になる。もう一方が離婚したくないと言い続けても別居後1年ないし2年で離婚は受理される。片方の浮気や借金が原因であっても、有責という考え方はない。

    だから慰謝料というものもない。離婚に於いては、結婚生活中に生じたすべての資産が平等に分割される。婚前契約で明確化されていない限りは、片方が結婚前から継続していた事業などによる資産も分割の対象になり得る。

    親権というものはなく、むしろ子の権利がある。つまり子には両親をもつ権利があり、両親に会う権利があるので、片親が勝手に親権放棄しますと言って子の人生から消えることは許されないし、もう片方の親があなたみたいなアホには子を会わせませんなんて言う権利もない。

    彼女の場合、慰謝料も親権もいらないので日本に帰りたいと言っているわけだが、まず慰謝料なんて、いるもいらないも、はじめっからない。そして子には彼女に会う権利があるので、彼女一人日本へ帰ったとしてもかなり頻繁に子に会いにフランスへ行かねばならず、その費用は彼女が自分で捻出せねばならない。

    彼に経済力があり、彼女にないのなら、その辺は離婚自体の協議とは別に、二人の間で相談するしかないと思う。

    日本の考え方とはあまりに違うので、欧州に慣れる前に欧州で危機を迎えた彼女の混乱はたいへんなものだろう。子も巻き込まれることだし、少しでも落ち着いて正しい方向へ舵取りできるように、祈るばかりだ。

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    フランス人

    「フランス人ったってよく知ってるのはあなたの家族以外じゃ片手で数えられるぐらいだし、フランスに住んでもいないし‥‥だから全然一般化はできないんだけど」

    ふんふんと夫は聴いている。

    「フランス人の表面に軽く触れただけの私の印象を言えば、理屈っぽくて皮肉屋で話が面白いけど、温かみは‥‥フランス人と聞いて連想する言葉じゃないな」

    「それは当たってると思うよ」と夫。
    フランス人らしからぬ温かな微笑みを浮かべている。

    「自己中ってか、えらく自分に興味もってるよね。自分のイメージとか自分の偉さとか自分の問題とか。必ずしも自信家ってわけじゃないのに、傲慢」

    「よく見てるね。確かに、フランス人はヨーロッパでもずばぬけて自己中だな」

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    昔、クリエイティブ・リスニングという技術の講義を一回だけ受けたことがある。かいつまんで言えば、相手が話している間、一切の考えを止めてひたすら傾聴するということのようだ。

    これが言うは易しで、ふつう私たちは相手が話している間、常に自分の反応を考えているものだ。相手の言っていることを自分の経験や知識に参照し、自分の意見や自分の反論を組み立てている。しかし実はその作業自体に心の半分がかかりきりになるので、相手の話は半分しか聴こえていない。

    この“自分”を一旦、といっても誰かが話している一かたまりの時間なんて長くて数分なのだが、とにかくその数分間停止して、“相手”に明け渡してみましょうというのが、クリエイティブ・リスニングの主旨らしかった。
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    これ、実はフランス人のもっとも苦手な技なのではないか(私も得意ではない)。フランス人同士電話で話していると、5分間に最低5回は「最後まで言わせて」「聞いて」に類することを言い合っている。それだけ互いに相手の話の腰を折っているわけだ。フランス人に何か言うと、間髪入れずなんか気が利いたようなコメントが返ってくる。それだけ、こっちが話してる間に自説を準備してるってことだ。

    「あなたは温かいし、時々はちゃんと話聞いてるし、あんまりフランス人らしくないのかな?」

    「君と暮らしていてフランスっぽさが抜けてきたんだ。まえは、けっこう冷たくて怒りっぽかったんだよ」

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    好き嫌い、嫌い

    「サラダは嫌い」→あっそう。

    「玉ねぎ嫌い」→あっそう。玉ねぎ抜きで作れるものって少ないね。

    「野菜は好き。インゲンとか、グリーンピースとか」→インゲンとグリーンピースの茹でたのを出す→一口も食べない→いつもの(フランス風の)料理法じゃないから、嫌→てか、ここイギリスだし、私フランス人じゃないし。

    「ズッキーニは嫌い」→一口も食べない→前もって嫌いかどうか訊かなかったからねぇ。

    「カレー大好き、でも辛いもの嫌い」→甘口のお子様カレーを作ってやったが、半分以上残す。フランスのインド屋のと味が違いましたかね。

    「肉は嫌い、鶏は好き」→知るか。

    スパゲッティボロネーズを出したら、玉ねぎも肉も嫌いなはずなのにえらい勢いで食べ始めた。が、しかし‥‥半分ぐらいで急に皿の上で弄び始め、結局お残し〜。そんなに不味かったなら、最初の勢いは何だったんだ?

    私の作るものが一般的な味覚で不味いわけじゃないことは、彼女らの祖母(私の義姉)の食べっぷりから明らかだ。外国料理にほとんど馴染みのないフランスの70歳が美味しいと言ってお代わりして食べてるんだから。

    でもね、お嬢さん方、この叔母さんが作るご飯がそこまで嫌いなら、外で食べておいでよ。自分で英語で注文してお金英ポンドで払ってさ。一週間、毎晩飯食いに帰ってこなくていいんだぜ。

    フランスやスペインの子供は好き嫌いしないようには教えられてないから、それは仕方ないけど、作った本人の前でどっさり残す13歳二人って、私も好き嫌いで言うなら嫌いだわ。自分の好みをいろいろ考えた上で人が作ってくれた食べ物だってこと、分かってないとしたら幼すぎるし、分かってて残すんなら傲慢すぎる。

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    テーマ : フランス
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    おフランス女性ご一行様、おなりぃ〜

    夫の姉とその孫娘二人(私から見ると“又姪”というらしい)が到着した。これから一週間のご滞在となる。んで、三人とも、英語できないんだわ〜。しかも夫は明日と明後日出張で居なくなるんだわ〜。どうしましょうどうしましょう。

    13歳のお嬢様方には別棟をあてがっておいた。バスルーム付きの独立した部屋で女の子二人、早くもガールズトークで盛り上がっているようだ。母屋に入り浸られるよりこっちも楽だし、まずはよしよし。

    母屋の客室に泊まる義姉とは言葉はあまり通じないけど、優しくて洞察力のある人だし、前にも1週間ぐらい泊まりに来たことがあるし、お互い気を使いすぎることはなさそう‥‥たぶん。

    どうしましょうどうしましょうと言っておきながら、今夜はとりあえず、夫におフランス女性ご一行様を任せて、私ひとりでミッツィの家に飲みにいきます。ご近所さん何人かで庭に集まってムサカを食べつつワインざんまいだそうです。ギリシャ人の母を持つミッツィのムサカ、たのしみ!

    テーマ : フランス
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    今、海を見ていたんだ

    夫が老人ホームにいるお父さんに電話した。

    「よく繋がったね、ラッキーだ」とお父さんの第一声。
    「どういうこと?」と夫が訊くと、
    「今、海を見ていたんだよ」という返事。

    たぶん、うたた寝して夢をみていたのだろう。亡くなったばかりの妻と、二人とも若く美しい姿に戻って浜辺をデートでもしていたのかな。夫は「お父さん何言ってるの、今居るのは老人ホームの部屋でしょ」という喉まで出かかった台詞を飲み込んだ。

    私が老いた時、もしかしたら夫も側にいなくなった時、私の海辺の話を抱きしめてくれる人はいるのかしら。

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    義母の葬儀

    夫の母ジャクリーンが亡くなり、葬儀のためフランスへ行ってきた。

    ジャクリーンは半年ほど前から食欲がなくなり、ほとんど何も食べずにいた。最後の2週間は老人ホームで強制摂食や点滴を受けたが、身体に生きる意志がないことは明白だった。人体は、来る死に備えて自らを飢えさせることで準備をするのだと医師が説明した。飢餓により天然の麻薬であるエンドルフィンが分泌され、一種のマラソン・ハイ状態になり、苦痛や恐怖を和らげるのだという。

    訪ねてきた末息子とホームの食堂でメインディッシュに手をつけ、ワインをグラス半分飲み、デザートまで所望してから一週間後、ジャクリーンは息を引き取った。

    夫の父と兄弟は無宗教なので、6日後の午後に火葬し墓地で遺灰を撒く手配をした。それに合わせて夫と私がフライトを予約した後で故人のメモが見つかり、「簡素でいいのでカトリックで葬儀をしてほしい」とあった。そこで急遽、午前中に教会で葬儀をすることになったが、フライトの変更ができずそれには間に合わなかった。

    ジャクリーンはお姫様気質で、気まぐれに思いのまま生きた。大勢の子や孫も、思いっきり分け隔てて溺愛したり無視したりした。弔う人々の温度差にそれが表れていた。訃報を受けた夫はポカンとして「僕って冷血かな。みんながお悔やみを言ってくれるけど、べつに悲しくないんだ」と言った。そして、棺を炉に入れる前に葬儀屋が「では数分間黙想の時をもちます。それぞれに故人を想ってください」と言ったとき、母との思い出を探そうとしたが何も出てこなかったと言った。「子どもの頃の家族旅行とかの記憶はある。でも母はそこに居ただけで、母と何かしたとか話したとかの思い出はないんだ」。一方、夫の甥でジャクリーンの孫ニコラは、儀式がすべて済んだ会食の席でも涙を浮かべて祖母の思い出を話していた。

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    ある意味で、フランス女性らしいフランス女性だったのだ。美人。ひとくちに美人といってもイングリッド・バーグマンやグレース・ケリー型ではなくマリリン・モンロー型の、金髪でふくよかでちょっと愚かな女。その女に夢中になり生涯仕えた夫、愛され振り回され無視された娘1人と5人の息子たち。

    彼女の灰が墓地の一角の花壇に撒かれるのを見ながら、その意外に多くもあり僅かでもある量に少し驚いた。ノルウェー人の母をもつ16歳の曽孫娘が流暢なフランス語で詩を朗読した。撒いた灰の上に葬儀屋が一束の花を置いた。

    人生はいろいろあって、ものすごく大変だったり幸せだったり、ぎっしり詰まっている。それもこれも全部、一握りの灰になるんだなと、自分の将来を想った。

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    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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