広告うるさいので更新のための更新

    胎児

    この頃ちょっと調子悪くて、ウツウツ気分のまま夫と一緒に友達と飲みに行った。いつものように喋り食べ飲み‥‥でもダメ気味なのはバレていて、「なんか今日無口だね」「それ、美味しくないの?」などと友達に言い当てられ、まぁしゃーねぇかとやり過ごしていた。その時、夫の携帯に着信音。次の瞬間、夫は画面の写真をみんなに見せて笑っていた。

    息子夫妻の、胎児の超音波画像。半分人間、半分液体のグロテスクな生き物。

    笑い声、話の続き、夫の元気な様子‥‥。私は夫に小声で「そういうの、二度と私に見せないで」と言った。夫は「あ、もちろん」と言って電話をしまった。

    人間は、どこまで愚かなんだろう。自分たちの胎児の写真に他人が興味をもつと思う親バカ、おいらの遺伝子の発達ぶり見て見てと一瞬でも思う爺バカ、友だちの孫ならどんな物体でもカワイーと言わなくちゃと思う世間体バカ、自分に関係ない胎児なんて気持ち悪いと露骨に言ってしまう継母バカ。

    どいつもこいつも無神経の骨頂。

    正直言って、ウツの波の最中に見たい画像ではなかった。マイナス3だった気分が7に下がった。仕方ないので今朝、もっといいお薬はありませんかと訊きにかかりつけ医に行った。それではこれをやってみましょうという新しい薬を来週から試行する。

    ロンドンブリッジ

    テロなんて、今じゃ普通の出来事になっちゃって。息を止めて生活するわけにいかないし、生活を一時停止にもできないから、3日も経つと世の中は何事もなかったかのように動き始める。

    地震みたいなもの。でも地震ほどの破壊の痕も残らない‥‥。って、違うんだけどね。本質的に。地震で原子力発電所が壊れ将来的に累計犠牲者数がテロをはるかに上回る場合を考える。そもそも原子力発電所をやってた輩の責任はどーよってなるけど、ワザワザ、数十万人殺めようと思ってやってたわけでもないんだよね。お金欲しかっただけで。

    その点、テロは戦争と同じで、殺すことそのものが目的なので、本当は同じじゃないのだ。

    テロを誘引したのが「お金欲しかっただけ」で他国を蹂躙し続けた西側先進国のエゴであることは、今日のところは考えないことにして。

    ロンドンブリッジはうちの最寄りターミナル駅だし、バラーマーケットにはたまに行くので、「いつもの」「普通の」テロよりもっと悲しくなった。テロの翌朝、夫はロンドンブリッジ駅乗り換えで空港へ行き中国出張に出かけて行った。

    サンセバスティアンに行ってきました

    久々にサンセバスティアンに行ってきた。スペイン最北東部バスク地方、フランス国境まで車で20分。美食で知られる小綺麗な街だ。日本でもこの頃知名度が上がってきたようで、視察に訪れた食のプロとおぼしき日本人もちらほら見かける。

    今回はロンドンの友達を連れての週末旅行。ヘロヘロに疲れるまで食べて飲んで笑ってきた。

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    林檎酒を注いでもらったんだけど…
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    ほとんど入ってない
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    気を取り直してみんなにも注いであげる
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    ご褒美にごはんを食べる
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    そして記念撮影。

    ミッツィ

    子を産めなかったことで自己憐憫に浸っていて、ふと思い出した。日頃親しくつきあっている友達のうち、3組5人が子なしだ。オージーとフィリピーナのロブ&ジェヴィ、リバプール出身のミッツィ、そしてオージー夫妻のクリス&ジュリー。

    ミッツィは、40代後半のギリシャ系イギリス人。アイルランドの血も入っているので、小柄で黒髪だが肌が白く緑色の目をしている。ものすごく明晰で独立心が強くて、でもどこか破綻していて、魅力的な女性だ。エイズ予防専門の社会科学者で大学で教鞭をとる傍ら、南アフリカで実地活動をしたりの研究を続けている。

    リバプールの下町で移民でシングルマザーのお母さんに育てられた。ミッツィは実は30代まではウェイトレスだの事務員だの、どうでもいい生き方をしていた。ある日いきなりアホくさくなって、「私って頭いいんだしと思って」大学に入り、進路をガラッと変えたそうだ。

    今でも、政治や社会を酒の肴に、鋭い舌鋒の合間にスカウズ(リバプール訛り)のお下品なフレーズが飛び出す。私が男だったら惚れていたに違いないそんな彼女がなぜ独身なのか、訊きたいのは山々だが躊躇している。ただ、彼女が仕事帰りに何かの用事でちらっと寄った時なんかに「よかったらワインでもどう? ごはんも、ちょうど作ってたから食べていく?」と声をかけると、喜んで入ってきてくれる。飲みっぷりは私と負けず劣らず、やっぱりちょっとは寂しいのかなと思う。

    独立を何より尊ぶ彼女は、うちと同じ宅地の綺麗な中庭つきフラットを買って一人で住んでいる。時々友達が泊まりに来たりはしているが、誰とも一緒に暮らす気はないと言う。今は近くに住んでいるお母さんが唯一無二の親友で、休暇には一人で世界中の秘境を歩き回っている。学者とはいえフリーランスの立場は決して安定したものではなくて、仕事の狭間にはうちでワイングラスを傾けつつ心配顔を見せることもある。

    だけどエイズ関連での彼女の業績は、はっきり言って人類の幸せに大きく関わること。彼女と知り合えて心から喜んでいる人は私だけでなく、ずいぶん大勢いると思う。子供を産まない女性には生きる資格がないとどこかの政治家が言ったからって、ミッツィの価値が一ミリも減りはしない。‥‥私についても同じくとは言い難いのがツラいところだ。

    説明に窮する日本

    クリスマスをヨーロッパ人の夫の親族とじゃなく夫婦二人きりで過ごしたいとか(日本語で家クリというらしい。ケンタッキーフライドチキンを買ってきて食べるのだろうか)、日本の会社を辞めてヨーロッパの田舎へ嫁入りする自分へのご褒美にエルメスのバッグを買いたいとか。

    ヨーロッパ人から「なんで?」と真っ白な問いを投げかけられる度に、一応は生まれ育った国なのだから擁護せねばという気が起きて、苦しい説明を試みる。日本人は神仏混淆でアニミストなので、どこの誰の宗教だろうとお祭りごとはいただいとくのだ。中国人やインド人と同じく成金だからブランド大好きな上に、「形から入る」流儀があるので、内実伴ってなくても気にしないのだ。

    西から昇ったお日様が東に沈む、それでいいのだ。んなわけ、ないでしょ。

    本当に変わった人たち。ボジョレーヌボーというおフランスの安酒に、お洒落ですと言われれば、蘊蓄垂れて群がってみる。外国の宗教の祝日をパパママや恋人と祝う食卓には、米国南部式揚げ鷄(西洋では下層賎民の餌)が欠かせない。2LDKの汚屋敷に家族4人で住んでてもブランド品持って出かける。真冬のヨーロッパで、短い脚にミニスカートとエルメスのバッグという夜の職業の制服に近い姿で内股チョボチョボ闊歩しちゃう。女子力高いし。

    「楽しければいいじゃん。日本の外でなんと思われようが関係ない」。ここで挙げてるようなことは、まあ、勝手にすればの範疇だが、それじゃ済まないことが結構ある。この世界で生き延びる気があるなら、そこに気がついてほしい。生き延びる気があるなら、ね。

    頭を抱えつつ、私は身の丈にあった(袖丈は足りない)ユニクロを着てチリのワインを飲んでいる。おフランスのカエル一族は老父母が亡くなって最初のノエル。今回は大西洋岸から場所を変えて、きょうだいや甥姪が何家族か住んでいる南仏モンペリエに集まった。たくさんの料理は、生牡蠣以外は全部、美味しくも不味くもないが家族が手分けして手作りしていた。私は例年通り、フランス語機能のないシャンパン消費マシーンとして、いっしょうけんめい笑いを取ってきた。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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