副操縦士の名誉挽回に郷里の村が懸命

    ジャーマンウィングス機を墜落させたとされる副操縦士。彼の出身地モンタバウア村で住民が有志のグループを立ち上げた。曰く、

    1)事故機には重大な欠陥があり、ルフトハンザ側がそれを隠すために副操縦士に濡れ衣を着せている。
    2)現地フランスの検察官の発表を鵜呑みにし、ボイスレコーダーの解析内容に疑問を挟まずにいるのはルフトハンザにとって都合がよいからだ。
    3)元カノの証言 −− 彼は雇用条件に不満を抱いていて仕事の話になると人が変わった、墜落する悪夢にうなされていた、「僕はこのシステムを変えるために何か事を起こしてやる。世界が僕の名を知るようになる」と言っていた −− は、何者かに買収されて捏造したものだ。

    などなど‥‥‥‥いわゆる陰謀説が展開されている。

    ドイツ人らしい反応だなと思ってしまう私は、もちろん、ドイツ人への偏見に満ちている。どこがドイツ的だと思うのか。副操縦士個人の名誉がどうのと言っているが、村に汚名を着せられてはたまらないという集団エゴに見えるからだ。村人が、件の青年をよく知っていたわけではない。公表された写真も小学校の卒アル写真。「12歳の時こんなに明るい顔の少年だった彼がそんなことするはずがない」なんて言われると、12歳の時あんなに明るい顔だった少女がこんなシカになるはずがなかったとでも? と訊き返したくなる。

    真相解明にはまだまだ時間がかかるし、解明されないかもしれない。今流れている憶測 −− うつ病の病歴と網膜剥離の発症とで、いつかルフトハンザ本社の長距離線機長になる夢を絶たれるばかりか、今の子会社短距離線副操縦士の職すら危なくなると絶望に駆られていた。恋人が妊娠して、父親になる展望にビビっていた矢先に捨てられた −− は、全部が全部その通りではなかったかもしれない。

    残された家族や友人や村や同僚や会社や政府が何を言おうと、大きな❓を残して飛行機は大破した。はっきり分かるのは、飛行機はたまに落ちるということだけだ。

    テーマ : ヨーロッパ
    ジャンル : 海外情報

    いくら?

    ドイツ語サイトで売りに出していたコーヒーマシンに買い手がついた。ドイツ語しか話さないオジサンの声で電話がかかってきて、今夜8時に取りに行くと言う。はあ、どうぞと言って待っていた。9時になっても現れない。時間厳守が国民的趣味のドイツ人にしちゃおかしいなあと夫と話していたら、ピンポ〜ン。現れたのはやっぱり、トルコ人だった。

    南の人の例に漏れず、お喋りで人懐っこいオジサン二人。コーヒーを試し飲みしつつ、「よっしゃ、100ユーロで手を打とう!」。そりゃないでしょ。150で載せてたのよ。「じゃ、110」。ムリ、ムリ。元値500以上よ。でも根切り当たり前文化の人相手にあんまり頑張っても埒があかない。じゃあ120でいいよということになった。オジサンたち、満足顔で「コーヒーうまいね〜」(その値段ならうまいでしょ)と言いながら、家の中を見回す。

    ここ、家賃いくら?
    キッチンはもう売っちゃったの? 家具は?
    あの人、奥さん? いいね〜、いくら?
    猫は? 何歳? 男の子? 女の子? いくら?

    私たちのドイツ語が限られているせいでこういう“インディアン嘘ツカナイ”みたいな会話になるのだが、それにしても何もかも「いくら?」。

    彼らがコーヒーマシンを赤ちゃんみたいに抱いて帰った後、夫と顔を見合わせて噴き出してしまった。ドイツ人だったらこうは出ないだろうなぁ。遠慮がないというか不躾というか、大阪人みたいというか(大阪はラテンだ)。余所者の私たちには可笑しいばかりだが、トルコ人がドイツで嫌がられるわけの一つを見た気がした。

    テーマ : ドイツ生活
    ジャンル : 海外情報

    アスペルガーとドイツ人

    夕べ観ていたテレビ映画 Gravy Train Goes East に、若いドイツ人のキャラクターが出てきた。優等生で理想主義なお坊っちゃま、作中で“Prince Stupid”と呼ばれている。

    EUがまだECと称していた1990年のブリュッセルを舞台に、革命で民主化されたばかりの架空の某東欧国家をめぐって西欧各国の思惑が錯綜するという話。民主化したとはいえ、市場経済をまったく理解していない政府と共産主義に骨抜きにされた国民、資源なし、インフラなしのボロボロ国家。この国のEC入りに難色を示す加盟国を尻目に、自分の利権がらみで加盟をゴリ押ししようとするEC事務長(フランス人)。この蛙じじいの差し金で、我らが Prince Stupid が某国に派遣される。

    お人好しな彼は、さまざまなトラブルに巻き込まれる。それとは知らずに重大な国家秘密を耳に入れてしまった挙げ句悪党に誘拐される。翌日釈放され、大統領との会見になんとか間に合った彼をねぎらって、大統領が「あらまあ、無事でよかったわ。いなくなったって聞いて心配していたんですよ(heard that you disappeared)」と言う。すると彼は真顔で「いえ、まあ、本当に消えはしなかったんです。存在してました(well, no, I didn't really disappear. I was there)」。大統領は「そのドイツ的厳密さ、いいわ〜!(I love that German precision!)」と笑う。

    チーン! と、私の頭の中でチャイムが鳴った。ロンドンの家をドイツ人に貸してすぐの頃、何かの用事で訪ねることになった。事前に電話で店子の都合を聞き、冗談まじりに「ドイツからソーセージでも持って行きましょうか」と言ったら、「いいえ、母がもうじき持ってくるので結構です」。

    冗談が通じない、字面どおりに受け取る‥‥。これ、ドイツ人の傾向であると同時に、アスペルガー症候群の典型的傾向でもある。そして、悪気はまったくないのだが、他者の気持ちが分からない、読めない。これも、ドイツでは目の前で誰かがすべって転んだりしてもさっと歩み寄って助け起こすような場面が異様に少ないことと、なんだか符合してしまう。「あ、痛そう」と感じる共感力が発達してないような。

    命令や規則を額面通りに受け取る、行間を読まない(読めない)、他者の痛みがわからない。あの歴史上の大教訓の前も後も、この傾向は変わっていないと見るのは酷だろうか。もしアスペルガー症候群の人のように、そういうふうに生まれついているのなら、それはもう仕方がないのでドイツは周りとギクシャクしながら共存していくしかないのだけど。

    この映画でのドイツ人は可愛らしく滑稽に描かれていて、ドイツ人が観たとしても気分を害しはしないと思う。同じくイギリス人、フランス人、北欧人、イタリア人もさんざんネタにされ笑われている。

    なんでそんな映画を観たかって? イギリス外務省の大ボケ代理人役で、イアン・リチャードソンが出ていたからに決まってるじゃありませんか!

    テーマ : 海外ドラマ(欧米・イギリスetc)
    ジャンル : テレビ・ラジオ

    くそドイツ人

    夏の宵、ほぼ毎晩隣近所のどこかでバーベキューをやっている。エコ気違いのドイツ人のくせになぜか超公害物質の石油式グリルで獣臭いヴルストを焼きまくる。窓を閉めようにも暑いし。昼間や宵の口ならまだしも、月曜日の夜11時にやられて私はキレた。

    見ると犯人は直隣の若夫婦。いつもいつも不在配達の小包を私が預かってやっている世帯だ。勇気を振り絞って、バルコニーから声をかけた。

    「あの、夜遅いし眠ろうと試みてるんですが、お宅からの臭いがきつくて」
    「はあ? 」
    「家の中で食べてもらえませんかね? 臭いが直接うちに入ってくるんで」
    「もう煙立ってないし、あんたがタバコ吸う時も臭いですけど?」

    カッチーン。それ、論点じゃないし、バルコニーでの喫煙は禁止事項に入ってない。バーベキューは実は禁止されてるけど、ドイツもこいつも平気で破っている。そんならあんたらドイツ人の大好きな急所を突いてやろうじゃない。

    「煙の話をしてるんじゃありません。食べ物の臭いです。それに、バーベキューは本当は許可されてないんですよ」

    コレで相手は黙った。ぜったい謝らない、詭弁で自己正当化し逆ギレしてくるドイツ人、大嫌い。私はあんたの私書箱じゃない。もう二度と、あんたの荷物なんて受け取ってやらないよ。昼間不在なら、週末まで待って自分でえっちらおっちら2キロ先の局に取りに行け。くそドイツ人

    テーマ : ドイツ
    ジャンル : 海外情報

    私の無知と偏見

    私たちは小綺麗な集合住宅に住んでいる。マンションというかテラスハウスというか、四〜五階建ての棟が中庭を挟んで二つあり、各世帯が縦割りに2フロア使っている。うちは地下と一階、二階。上の住人は三階と四階という具合。ルーフバルコニーのある世帯もある。

    基本的には賃貸住宅なのだが、向かいの棟の真ん中二つの物件を購入し壁をぶち抜いて住んでいる小金持ちがいる。庭の垣根も取っ払って豪邸気分を満喫している。広い家が欲しいなら一軒家を買えばいいのに、なんで集合住宅? 一族郎党(赤ん坊、妊婦、夫の他に青少年数人、老夫婦、別の中年男女)が常時出入りしていて、本当は誰が住んでいるのか分からない。富と幸せのアピールは結構だが庭で肉を焼きまくる傍らで青少年が嬌声あげて遊戯に興じるのは、ありがたくない。それと、冬期庭を冷蔵庫代わりにビールや水のケース置き場にするのも、洗濯物干すのも‥‥ドイツ人にしちゃドイツの常識破りすぎ。

    そこでもたげる猜疑心。あの家族はもしかして、東ドイツから来た成金?

    私は東欧・旧ソ連(ポーランドを除く:理由は後述)人に対してけしからん偏見を持っている。今まで出会った人に、無知で傲慢で無作法な人が多かったから、恨みは倍返し(フッフ)。なんちゅうか、民度が低いのよ。

    急激な民主化で劣等感と自尊心が彼らの頭の中で引火して、西側白人社会にバカにされることが非白人蔑視に繋がっている感じもする。

    共産主義時代に偏った教育を受けたのは明白で、旧東ドイツではナチスについてもあまり教わらなかったそうだ。

    日本女性で結婚相手が在独ポーランド人というパターンをよく見かける。ポーランドは親日的で、私が接したポーランド人も日本人と知ると興味をもち親しんでくる人が多かった。なぜかヨーロッパではバカの代名詞扱いされているポーランド人だが、私の印象では文化芸術に造詣が深く哲学的で剽軽で温かい人が多い。

    ところで、ポーランド以外の東欧人、あるいは東欧どころかトルコ人、パキスタン人などを彼氏にしている日本女性も珍しくない。わざわざドイツに来て外国人とくっつくわけは国民性とは関係なさそうだ。要するに、(西)ドイツ人に相手にされないから。

    日本人は人種・民族・宗教の相克する環境に育っていないので無垢というか無知というか、「愛があれば」となるらしい。でも結婚してからバカの壁に突き当たっていらぬ苦労をする様もあまた目にする。壁を構成するのは、育った環境の経済的民度と宗教。今はドイツで普通に稼いでいても、我が隣人のように生き方が成金だったり一族郎党と同居だったり、結婚したが最後ハラル料理を習得し頭に被り物までしなければならなかったり。知り合いの東ドイツ人医師なんかは「オレ、医者」とあの猫の歌みたいに連呼してたっけ。あ、この歌知らない人は“おれ、ねこ”で検索してみてね。

    テーマ : 東欧
    ジャンル : 海外情報

    街角で阿鼻叫喚

    夕方買い物に出た。家の近くの交差点を渡ると、飛んで火に入る夏の虫。雑貨屋の前で突然、赤子を抱き幼児の手を握ったトルコ人女性が私に「助けて!(ドイツ語)」と縋る。見ると、もう一人の子供がドイツ人男性に片手を引っ張られ、母親らしきそのトルコ女性と私を交互に見つめて泣き喚いている。

    道路の真ん中には市電の停留所。傍観者が注視している。一番近くにいる他人たる私は、不運なことに臆病者でドイツ語もできない。この男は子供の父親? あるいは児童保護局かなんかの役人? とにかく、母親から子供を引き離そうとしている。それが正当な理由によるものかどうかは論点ではない。

    私が「ドイツゴワカリマセ〜ン」とか言っているうちに、停留所にいた女性がツカツカと道を渡ってきて「こっちおいで!」とトルコ女性と子供たちを雑貨屋に突っ込んだ。その後どうなったのかは知らない。20分後、買い物を終えた私が同じ道を戻って来ると、さっきの親子と別の女性が仲良く交差点を渡って行くところだった。

    私はなんであの時、泣き顔で訴えてきた女の子を両腕で受け止めなかったんだろう? ドイツ語できるできない関係ない。「こっちおいで!」と介入した女性は、ドイツ語分かる以前に、たぶん母親なのだ。他の母親と子供が苦しむのを黙殺しない“母の度胸”があるのだ。(経験上、ドイツ人はこういう場面でわりと冷たい。イギリス人のように見ず知らずの他人が困っていると自然に助けるという隣人愛はドイツ人一般には感じない。)

    母親でない私の愛情は空虚だ。好んで子なしの人生を選んだわけではないけど、そのために半人前扱いされることに憤りながら、それゆえに半人前な部分があると認めざるを得ない。

    アカの他人の阿鼻叫喚にドワワ〜ンと落っこちながら作った夕飯は、それなりに美味しかった。夫は2回もおかわりをしてくれた。私の愛情なんて、こんなちっぽけなものさ。へい、イカのトマト煮ケイパー入り一丁あがり。

    テーマ : 国際結婚
    ジャンル : 海外情報

    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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