ジャーマンウィングス機墜落

    28歳の副操縦士の中で何が起きたのか分からない。ともかく彼が故意に降下ボタンを作動させたことが分かっている。デュッセルドルフにマンションもあったが、基本的にフランクフルト近郊の親元で暮らしていたようだ。メディアの目はこの両親に集中しているわけだが、息子が死んだ、おまけに149人殺したとなれば、言葉なんか出るわけがない。

    つまり彼には、彼が死んだら嘆く人たちがいた。

    この世に思い遺すことは何もないという人は、往々にして、自殺しない。

    何かの途中にあった人‥‥やりたかったことが果たせなかった、愛されたい人に愛してもらえなかった、なりたい自分になれなかった‥‥いろんな思い遺しがたっぷりある人こそ、自殺するのだろう。だから当然、遺された者や想いがある。

    そこには胸の張り裂けるような嘆きが残る。今回の場合は、150人分。

    幸福な死というものは、なかなか達成できない最終目標なのかもしれない。

    テーマ : ヨーロッパ
    ジャンル : 海外情報

    楽しい一日

    在ハイデルベルクのスコットランド人夫婦がお母さんと息子を連れて日帰り観光にやってきた。在デュッセルドルフの別のイングランド女性を交え、私たち夫婦と総勢7名でお昼に串亭へ。日本食に慣れた人もそうでない人もそれなりに楽しめる便利な店だ。

    みんな英国人だがドイツ語はできるので注文の世話もいらず、食べ物は和食、話は英語とあって、私はすっかりリラックスモード。社交を子どもの頃から叩き込まれている英国人は、知らない同士でも仲良くする術を心得ている。それにみんな長年外国暮らしの経験があり、同年輩とあって、けっこう身のある話を上手に振ってくる。

    イングランド女性はシンガポールに13年間駐在した後、今はデュッセルドルフのインターナショナルスクールで働いている。夫さんは日本企業に勤めていて、今はジャカルタに単身赴任だそうだ。イングランド北部の出身で訛りが強い。つまり労働者階級だが、イギリスを出てしまえばそんなことは障壁にならない。本人の頭とやる気で行きたい所まで行ける。在外英国人にはこういう人が多い。

    学校で世話をするいろんな国の子どもや親たちのことを話してくれた。日本の子どもには感心する一方面食らうことも多いと言う。頑張り屋。でもとても我が侭で幼い面もあるらしい。学校のチャリティーイベントでボランティアに来た子。「じゃ、あそこでジュース類を売ってね」と頼むと途端に表情が曇り、母親のところに行って日本語で文句を言いはじめた。英語のできる子なのに、イヤなことがあると教師と話そうとせず親に言いつける。親は“姫”の権利を守ろうと、ジュースを売らせないでくれとできない英語で言いに来た。そこでイングランドの彼女は「彼女と話させてください」と制し、子どもに言った。

    「あなたは、人を助けるイベントにボランティア志願してくれたんだよね。助けるってことは、自分のしたいことじゃなく、相手に必要なことをすること。助けたくないなら、それは尊重するから、帰っていい。助けたいなら、頼まれたことをしなさい。どっちにするか、決めて。どっちでも私は怒らない。あなたの選択を尊重する」。

    「この仕事が楽しいから、夫のジャカルタ行きに帯同しなかった」と彼女は言う。そりゃあ楽しいだろう。ヨーロッパの小都市に居ながら世界と接するんだから。「で、あなたは?」と私に訊く。私は‥‥「ノルウェーでの日本語教師の仕事は大好きだったけど、今の夫がスペインに住んでいた。仕事は辞めたくなかったけど、ノルウェーの雪と氷に埋もれておばあさんの塩漬けになる将来を考えたら、幸せにならなきゃと思って」。彼女は顔をほころばせて笑った。「そっかー、どっちか択一だったら幸せが大事よね。私はたまたま一石二鳥だったから、ラッキー!」

    スコットランド人夫婦は今娘が日本に留学していて、日本のことが話せるのが楽しくて仕方ないようだった。娘の話を聞いていて何故だろうと思ったことを私に訊いて、腑に落ちたり余計興味をもったり。80歳のお母さんは優しくて大人しくて、ロンドンに戻るのを楽しみにしているという私にロンドンのどんなところが好きなの、と尋ねる。「どんな顔つきや肌の色をしていてもガイジン扱いされないところ。イギリス料理は置いといて、世界中の美味しいものが食べられるところ。適当に汚くて、気を使わないで済むところ」。別れ際、にこにこと優しい微笑みを浮かべながら私をハグして、「イギリスを楽しんでね」と言ってくれた。

    滅多にないくらいとても楽しい一日だった。

    Japan-Tag 日本デー(オタクの日)

    毎年恒例の日本デー。デュッセルドルフ市は1万人前後の日本人人口を抱え税収の10%を日本企業から得ている。高校の第二外国語の選択肢に日本語が入ってるそうで、アニオタ率も高そうだ。
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    生まれつき金髪碧眼の人がアニメのコスプレって、どうも本末転倒な気がしてしまうのだが。
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    こういうカッコいい少女もいた。
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    ラーメン屋のひみつ

    欧州随一の日本人街、ここデュッセル村のインマーマン通り界隈に、行列のできるラーメン屋がある。行列が行列を呼んでいるとしか言いようがない繁盛ぶりだ。

    さて、その数軒手前に、愛想のいいお兄さんが経営する小さなカフェがあり、こちらも日本人に人気だ。黒板に手書きの日本語メニュー、日本人好みの「スイーツ」も置いているし、兄さんは日本語で挨拶してくれる。

    兄さんはアルジェリア人で、母国語(アラビア語&フランス語)と流暢なドイツ語、さらにそこそこの英語と日本語ができる。うちの夫、商売柄ひんぱんにアルジェリアへ行くので、フランス語で故郷の話ができる相手として、兄さんにとってお気に入りの得意客になっている。

    夫は昨日、昼過ぎにコーヒーを飲みに行った。そこへ料理人の格好をした客が入って来て、カフェの兄さんが「同郷の仲間だよ」と夫に紹介した。しかも件のラーメン屋「なにわ」のシェフだという。漠然とエキゾチックな風貌は、彫りが深くて色黒の日本人だってば!と100回聞かされればそうかもと思ってしまう程度には東洋的。日本人ボスから秘伝のレシピを渡され、他の従業員の目に触れないよう金庫に管理する責任を仰せつかっているそうな。化学調味料は、もちろんたっぷり使うのよと言っていた…そうな。

    まあ、かなりの部分は、眉唾にしてもだ。北アフリカは、ホラ吹き文化だからね。それにしても、だ。

    「なにわ」のラーメンは脂っこくて麺が頼りなく、私は一回しか行っていない。もう一軒の「匠」の方は、時々行く。こちらも脂っこいが、麺はまっとうな根性がある。よーく観察してみると、「なにわ」の行列は半分以上がドイツ人、「匠」の方はほとんどが日本人…。ニホンジンの舌は正直ねぇ。

    テーマ : 海外食生活
    ジャンル : 海外情報

    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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