ミーハー

    三日前、日本に着いてブログを開けてみたら、アクセス数がなんと861回。普段は0〜30アクセス程度の地味ブログに何でまたと思いつつ、日本のテレビでも観るかとリモコンを押すと、カズオ・イシグロのノーベル賞受賞のニュースをやっていた。なんてこった。

    広告うるさいので更新のための更新

    謎の👍

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    胎児

    この頃ちょっと調子悪くて、ウツウツ気分のまま夫と一緒に友達と飲みに行った。いつものように喋り食べ飲み‥‥でもダメ気味なのはバレていて、「なんか今日無口だね」「それ、美味しくないの?」などと友達に言い当てられ、まぁしゃーねぇかとやり過ごしていた。その時、夫の携帯に着信音。次の瞬間、夫は画面の写真をみんなに見せて笑っていた。

    息子夫妻の、胎児の超音波画像。半分人間、半分液体のグロテスクな生き物。

    笑い声、話の続き、夫の元気な様子‥‥。私は夫に小声で「そういうの、二度と私に見せないで」と言った。夫は「あ、もちろん」と言って電話をしまった。

    人間は、どこまで愚かなんだろう。自分たちの胎児の写真に他人が興味をもつと思う親バカ、おいらの遺伝子の発達ぶり見て見てと一瞬でも思う爺バカ、友だちの孫ならどんな物体でもカワイーと言わなくちゃと思う世間体バカ、自分に関係ない胎児なんて気持ち悪いと露骨に言ってしまう継母バカ。

    どいつもこいつも無神経の骨頂。

    正直言って、ウツの波の最中に見たい画像ではなかった。マイナス3だった気分が7に下がった。仕方ないので今朝、もっといいお薬はありませんかと訊きにかかりつけ医に行った。それではこれをやってみましょうという新しい薬を来週から試行する。

    "I Vow to Thee My Country"

    小林麻央さんの結婚披露宴で花嫁の希望で歌手が歌ったという『ジュピター』。

    私は以前日本へ行った時、この曲に日本語の歌詞をつけて女性歌手が甘ったるく歌っているのを耳にして悪寒がした。

    原曲はもちろんホルストの組曲『惑星』中の“木星”。ホルストの母国イギリスではこれにセシル・ライスの詩をのせた "I Vow to Thee My Country" という讃美歌が準国歌といっていいほど親しまれている。

    ダイアナ妃が自らの結婚式に選曲し、彼女の葬儀でも故人愛唱歌として歌われた。息子のウィリアム王子も結婚式でこの曲を選んだ。そうした重要な儀式にふさわしい重厚で厳粛な曲だ。

    さて一問。 "I Vow to Thee My Country" の Thee とは神なのか、国家なのか。Thee が大文字で始まるかどうか、その後にカンマをつけるかどうかで意味が変わってくる。「祖国も、地上のすべてもわが愛も、あなた(神)に捧げる」のか「わが祖国よ、地上のすべてもわが愛もあなたに捧げる」のか。

    どうやら後者の解釈をとる人が多いらしく、この讃美歌は極右の愛国歌のようにも使われてしまっている。

    私はどうも、どっちの解釈も間違いではないけど、第二節の歌詞から考えるに、作詞者が意図したのは地上の祖国への愛と天上の祖国(神)への献身を結びつけることだったのじゃないかと思う。

    そんなわけで、パイプオルガンと会衆の斉唱でこの曲に慣れていた私は、日本の女性歌手が喉から出した甲高く弱い声で独唱するのに怖気をふるってしまったのだった。ち、違う。ちがう〜。どう違うって、般若心経をNYの黒人グループがズボン尻まで下げてラップでやってる感じ? そりゃあ音楽は人それぞれ好きなように演奏すりゃいいのだけど、同時にそれぞれ生理的にイヤなのもあるってことで。

    相手を見つめる

    人は誰しも、刻一刻と成長し老化し変化している。一日たりとて、昨日とまったく同じではない。誰かを愛している時には、その人の小さな変化にも目がいくものだ。

    今日はちょっと元気ないなとか、髪型が違って見えるかなとかの、小さなことかもしれない。ああ、この人は他の誰かを想っているといった、肝心なことかもしれない。重大な病気に気づくのも、本人よりもその人を愛する誰かってことも無くはない。

    結婚生活で相手の小さな変化に気づかなくなった時、相手が家具のように見え始めた時、愛はなくなっているのかもしれない。

    そんな話を夕べ夫としていた。今のところ愛し合ってるよね、と変な安心を共有しつつ。
    プロフィール

    シカ

    Author:シカ
    夫のカエルとともにヨーロッパに住むシカです。シカは日本生まれですが、ここ20数年イギリス、フィンランド、ノルウェー、スペイン、ドイツ、振り出しに戻る(イギリス)と流れてきました。カエルはフランス生まれです。詳しくは自己紹介ページへ。

    引用・転載は原則として歓迎ですが、事前にご一報ください。どのような論旨・目的での引用・転載か、把握しておきたく存じます。

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